中村文弥 人物

中村文弥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 06:49 UTC 版)

人物

大野剣友会きっての二枚目で気立ても優しく、中屋敷哲也をはじめ後輩から慕われていた。後輩の一人である河原崎洋央は「負けず嫌いで、意地になる」性格であると証言している[9]

元来俳優志望であったため、剣友会の担当するドラマに顔出し出演していることも多い。剣友会内では経理や渉外などの事務運営も務めていた[3]

自動車好きであり、『イナズマン』ではそれを活かしてカースタントに挑戦している[2]

仕事への姿勢

ヒーロー役を演じる際は、外見だけでなく内面も演じることを心がけていた[4]。中村の立ち姿の美しさや絡みの上手さは大野剣友会一と謳われ、剣友会初代代表の大野幸太郎は多くの人間が仮面ライダーを演じたが中村が最高であったと評しており[10]東映生田スタジオ所長の内田有作も「背中の演技」を評価している[4]

仮面ライダーを演じていたころはよく怪我をしていたが、「怪我をする演技をやることが役者の恥」という考えから周囲に怪我のことは絶対に言わなかったという[4]。後年のインタビューでは、怪我をしても先のことを考えずにがむしゃらにできた若さがあったから仕事を続けることができたことを述べている[5]

また、剣劇出身であることから刀を折ることを一番の恥と考えており、竹光を用いた『変身忍者 嵐』でも動きにくい衣裳にもかかわらず刀を折ることはなかった[5]

エピソード

時代劇中心だった剣友会が、『仮面ライダー』で急にヒーローアクションを請けることになり、中村は「最初は戸惑った」と語っている[9]。しかし、仮面を着けた芝居であっても、中では必ず喜怒哀楽の表情を心がけたとのことで、大野剣友会創始者の大野幸太郎のほか、岡田勝中屋敷鉄也ら後輩は、「面を着けての感情を持たせた演技は中村が一番うまかった」と口を揃えている[9]

2号の衣装は、それまで使っていた1号をリペイントなどして使用したもので、マスクも藤岡弘に合せて作られたものだった。

仮面ライダー』初期にショッカーの戦闘員を演じていた中村は、スタッフが撮影中に仮面ライダーのマスクを地面に置いた様を見て激怒し、「その面をなんだと思ってる!! そいつは主役の顔なんだぞ!」とスタッフを大声で怒鳴りつけた。この光景が、殺陣師を務めていた高橋一俊の目にとまり、次のライダーでスーツアクターを担うきっかけとなった。経緯は漫画『仮面ライダーをつくった男たち』100頁に描かれている。

『仮面ライダー』役に抜擢後、年下ながら若干先に入会していた中村へ気を遣う高橋に対し「いっしゅん(高橋)、気を遣わずどんどん要求してくれよ」と声をかけ、殺陣師である高橋が万全に取り組めるよう配慮していたという[要出典]

『仮面ライダー』のオートバイスタントは室町レーシングチームが担当していたが、スケジュール等で不在の際は中村がライダーの衣装を着用しサイクロン号に乗ったこともあるという。中村曰く「やってみれば、意外とできてしまうもんだ」と語っている[要出典]

かなづちである。2号編エンディングの、当時お台場にあった貯木場で仮面ライダーが戦闘員らとともに海へ飛び降りるシーンでは、本番前にライダー役の中村も飛び降りろと指示され仰天したと語っている[要出典]

『イナズマン』の怪人タケバンバラが唱える「ヤンブラムカナ…」という呪文は、中村の名をさかさまにしたものである[11]

テレビ番組でのキャスト・クレジット(字幕)は、大野剣友会の最古参である中村文弥がトップになることが多いが、剣友会のメンバー表示は比較的ランダムであり、彼が真(ヒーロー役)とは限らない。このあたりは真の演者を真っ先にクレジット紹介するジャパンアクションクラブ (JAC) と異なる。クレジット自体が使いまわされることも多く、番組によっては同じオープニングで中村の名がゲスト分も合わせ2回表示されることも頻繁にみられた。

大野剣友会が養護施設の慰問へ訪れた際、歩けないはずの子どもが仮面ライダーを見るために立ち上がったことがあった[4]。中村は、このとき養護教諭が「自分たちが365日かけて頑張っても『仮面ライダー』には勝てない」と涙ながらに述べたと語り、『仮面ライダー』は自身に奇跡を見せてくれたヒーローであると述懐した[4]

出演

太字はメインキャラクター。

特撮

テレビドラマ

映画

その他


注釈

  1. ^ ヘビ獣人[16]、ワニ獣人[16]、カニ獣人[16]、黒ネコ獣人[16]、獣人カタツムリ[16]、トゲアリ獣人[16]
  2. ^ 奇械人ガンガル[17]、奇械人オオカミン[17]

出典

  1. ^ 「座談会 生田の日々」『テレビマガジンヒーローグラフィックライブラリー 仮面ライダー〈PART 2〉』講談社、1995年、90頁。ISBN 978-4063249040 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 仮面ライダー怪人大画報 2016, p. 198, 「仮面ライダー スタッフ・キャスト人名録 2016年版」
  3. ^ a b c 岩佐陽一 編「追悼・中村文弥」『仮面ライダーV3大全』双葉社、2001年、163頁。ISBN 4-575-29235-4 
  4. ^ a b c d e f g h i j OFM仮面ライダー9 2004, p. 28, 「中村文弥」
  5. ^ a b c 変身ヒーロー大全集 1995, p. 149, 「INTERVIEW 中村文弥」
  6. ^ a b c d e 仮面ライダー大全集 1986, pp. 154–157, 「仮面ライダーの影 大野剣友会」
  7. ^ 『東映ヒーローMAX』での岡田勝による逸話から[要文献特定詳細情報]。このエピソードは、漫画『仮面ライダーをつくった男たち』(108-109頁)でも触れられている。
  8. ^ 『テレビマガジンヒーローグラフィックライブラリー2 仮面ライダー』(講談社) P88
  9. ^ a b c 仮面ライダー大全集 1986, pp. 158–161, 「大野剣友会座談会 私達も仮面ライダーでした・・・」
  10. ^ a b c d e f g h i OFM仮面ライダー9 2004, pp. 27–29, 和智正喜「特集 大野剣友会 ライダーアクション影の主役たち」
  11. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 187, 「作品紹介/イナズマン」.
  12. ^ a b 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 12, 「ショッカー(第4話-第7話)」
  13. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 63, 「デストロン(第13話-第16話)」.
  14. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 71, 「デストロン(第31話-第35話)」.
  15. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 82, 「GOD(第9話-第21話)」.
  16. ^ a b c d e f 仮面ライダー怪人大全集 1986, pp. 90–91, 「ゲドン(第6話-第14話)」
  17. ^ a b 仮面ライダー怪人大全集 1986, pp. 96–97, 「ブラックサタン(第1話-第6話)」
  18. ^ 仮面ライダー怪人大全集 1986, p. 107, 「デルザー軍団(第35話-第39話)」.
  19. ^ 藤川裕也 編「第3章 変身ブームの中で 15. 秘密戦隊ゴレンジャー」『大野剣友会伝 ヒーローアクションを生んだ達人たち』岡田勝監修、風塵社、1999年7月15日、123-128頁。 


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