ロボット刑事 ロボット刑事の概要

ロボット刑事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 22:38 UTC 版)

ロボット刑事
ジャンル 特撮刑事ドラマ
原作 石森章太郎
企画
脚本 伊上勝
監督 奥中惇夫
出演者
声の出演
ナレーター 野田圭一
音楽 菊池俊輔
オープニング 水木一郎
「ロボット刑事」
エンディング
  • 水木一郎
  • 「ロボット刑事」( - 第4話)
  • 「進め! ロボット刑事」(第5話 - )
言語 日本語
製作
制作
放送
放送局フジテレビ系列
音声形式モノラル放送
放送国・地域 日本
放送期間1973年4月5日 - 9月27日
放送時間木曜19:00 - 19:30
放送枠フジテレビ木曜7時枠の連続ドラマ
放送分30分
回数26
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本番組のタイトルは『ロボット刑事』だが、主題歌でタイトルと主人公名を繋げて「ロボット刑事K」と歌われているため『ロボット刑事K』と誤解される場合もある。

概要

捜査用ロボットKケーと人間の刑事たちのチームによる犯罪組織バドーの事件の捜査を通し、最後に敵のロボットと戦闘モードのKの戦いを描く。

フジテレビ系で初めて放送された、石森章太郎原作の特撮番組。石森はデザインといくつかのアイディアの寄与、および漫画版の執筆に留まり、実質的な原作者は東映のスタッフたちである。JAC初の単独アクション担当作品でもある[1][2]

変身ヒーローがブームだった当時としては珍しい、人間体を持たず変身もしないヒーローを主人公とする[3]。本作品を企画した平山亨によると、「僕はひねている性分なので、あえて変身しないヒーローをつくってみた」とのことである[注釈 1]。企画書には「変身ブームの次はロボットブーム」と記されており、前年に放送開始した『マジンガーZ』の人気も意識していたものとされ、初期案ではKが合体する巨大ロボット・ファーザーの登場も予定されていた[1][4]

また、この当時のヒーローでは珍しく必殺技として銃火器を使用するのも大きな特徴である。

エピソード

企画時の作品タイトルは『ロボット刑事K2』[1][5]。その後、主人公の名前が変更されて「ロボット刑事Jジョー」となり[注釈 2]、最終的にタイトルは『ロボット刑事』に決定した。Kの愛車の名が「ジョーカー」なのは、その名残である。

当初の企画案では、巨大ロボット・ファーザーの登場をはじめとした特撮描写に重点を置くことが意図されていたが、最終企画案では等身大アクションを重視した内容に改められ、その強化策として千葉治郎演じる新條強が設定された[1]。一方で、特撮を重視するという方向性も残り、当時の東映特撮では珍しい特撮班が編成された[1]

当初、あるスタッフが「Kの頭に角をつけたい」と言い出し、造型デザインを担当していた高橋章が、石森とともに猛反対した。その際、石森は「それじゃペーソスが出ない」と主張し、高橋は「さすが作家だなあ」と感服したという[8]

第1話の脚本はそれまでの平山亨のプロデュース作品と同様に伊上勝が担当したが、『仮面ライダーV3』や『イナズマン』などの執筆も並行していたため執筆総数は5本に留まった[9]

パイロット監督は『仮面ライダー』終盤から生田スタジオ作品に参加し、『仮面ライダーV3』序盤も務めた奥中惇夫が平山からの要請により担当した[10]。奥中は、本作品に対し「変身もの」という意識はなく、『特別機動捜査隊』などと同じ本格的な刑事ドラマを撮っているという想いであったと語っている[11]

第19話・第20話では、前年に返還された沖縄ロケが行なわれている。これは、脚本を担当した上原正三(沖縄出身)をねぎらったものである[1]。なお、沖縄でテレビドラマのロケを行ったのはこれが初だったという[12]

テレビマガジン』誌上では、撮影で使用したカメレオマン、ナナツマン、ドクガスマンの着ぐるみが、読者に懸賞賞品としてプレゼントされた[13]

Kの通常時のスーツアクターを担当した中島律は、放送開始前の新聞記事で「顔の表情なしで悲しみや喜びを表現するのは難しかった」と語っており、戦闘時のスーツアクターを担当した金田治も、戦闘時の着ぐるみは動きにくいため「予想以上にやり難くてびっくりした」と語っている[14]

ストーリー

ある夜、密室殺人事件が発生。それは人間にはとても不可能な状況での犯行だった。捜査する芝と新條の前に、一人の刑事が現れる。彼はロボットで自らをKと名乗り、犯人もロボットであることを告げる。事件の背後に、犯罪ロボットレンタル組織「バドー」が存在することが明らかになり、芝たちとK(人間とロボット)のチームの、バドーに対する戦いが始まった。


注釈

  1. ^ また平山は、アイザック・アシモフの小説『鋼鉄都市』を参考にしたとされる[1]
  2. ^ ベルトのバックルのマークが「J」になっている着ぐるみが制作され、1973年2月によみうりランドでマスコミ向けのスチール撮影会が行なわれた[1][6][7]
  3. ^ 失明時は白となる。
  4. ^ ブローアップ形態に明確な名称はなく、書籍『全怪獣怪人 下巻』ではパワーアップK[3]、書籍『変身ヒーロー大全集』ではブローアップK[16]と記載している。
  5. ^ パワーアップによって装備されたものとは異なる。
  6. ^ 書籍『’70年代特撮ヒーロー全集』では、名称を破壊砲と記載している[7]
  7. ^ 名称は、書籍『変身ヒーロー大全集』ではドリルカッター[16]、書籍『’70年代特撮ヒーロー全集』ではドリルアロー[7]と記述している。
  8. ^ 書籍『変身ヒーロー大全集』では、名称をマザーロボットと記載している[18]
  9. ^ 「来るなハグルマン!」と向かってきたハグルマンに対し死ぬのを拒否する描写があるので本人は死ぬ気はなかった。
  10. ^ 唯一生物名のついているカメレオマンもカモフラージュ機能があるだけで、カメレオン型というわけではない。
  11. ^ 書籍『変身ヒーロー大全集』では、前者をロボット処理班、後者をバドー工作員と区別している[20]
  12. ^ 平山亨の義兄でもある松村昌治の変名[17]
  13. ^ その他、劇団河同人舎プロダクションテアトル・エコーなどの所属声優が起用されている。なお、劇場版では「青二プロ」とのみクレジット。
  14. ^ エンディングのテロップが「Kは明日をめざす」となっているが[17]これは当初エンディングテーマとして候補が挙がっていた「ケイは生まれた」を指している[要出典]
  15. ^ 書籍『全怪獣怪人 下巻』では、名称をレイトウマンと記載している[26]
  16. ^ 書籍『全怪獣怪人 下巻』では、名称をガドリングマンと記載している[27]
  17. ^ 7月号から10月号は写真処理で掲載された[49]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 変身ヒーロー大全集 1995, p. 168, 「作品解説 ロボット刑事」
  2. ^ a b 「特集企画 スーパー戦隊の神業 JACの初期スーパー戦隊アクション」『スーパー戦隊 Official Mook 20世紀』《1981 太陽戦隊サンバルカン講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2018年8月25日、30-31頁。ISBN 978-4-06-509606-2 
  3. ^ a b 全怪獣怪人 下 1990, p. 261
  4. ^ 変身ヒーロー画集 2004, pp. 135、184.
  5. ^ 変身ヒーロー画集 2004, pp. 135、137、139、184.
  6. ^ a b 特撮全史 2016, p. 46-47, 「ロボット刑事」
  7. ^ a b c d 宇宙船SPECIAL 1998, p. 55.
  8. ^ 宇宙船』Vol.71(朝日ソノラマ・1995年) p.59
  9. ^ OFM仮面ライダー5 2004, pp. 27–29, 赤星政尚「特集 果てしなき闘いのドラマ 『仮面ライダー』脚本家列伝」
  10. ^ OFM仮面ライダー8 2004, p. 30, 和智正喜「仮面ライダー監督紳士録 第2回 奥中惇夫」.
  11. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 171, 「INTERVIEW 奥中惇夫」.
  12. ^ 昭和懐かしのヒーロー番組「そうだったのか!最終回」(アントレックス 2017年8月)p.80
  13. ^ 『テレビマガジン70's ヒーロー創世期メモリアル』(講談社・1998年) p.32
  14. ^ a b c 『読売新聞』1973年3月9日付朝刊、13面。
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 東映×石ノ森 2010, pp. 34–37, 「ロボット刑事」
  16. ^ a b c d 変身ヒーロー大全集 1995, pp. 66–67, 「ロボット刑事」
  17. ^ a b c d e f 変身ヒーロー大全集 1995, pp. 169–171, 「作品紹介/ロボット刑事 EPISODE GUIDE 全26話」
  18. ^ a b 変身ヒーロー大全集 1995, pp. 68–69
  19. ^ 竹書房/イオン編 編『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』竹書房、1995年11月30日、107頁。ISBN 4-88475-874-9。C0076。 
  20. ^ a b c 変身ヒーロー大全集 1995, pp. 70–71, 「バドーの殺人セールスマン」
  21. ^ a b c d 『宇宙船』Vol.122(ホビージャパン・2008年) p.115
  22. ^ 講談社X文庫『メーキング・オブ・東映ヒーロー(3)・メカニカルヒーローの世界』(1987年) p.188
  23. ^ 『宇宙船』vol.18(1984年6月号)p.4
  24. ^ 仮面俳優列伝 2014, pp. 209–221, 「第6章 現場に帰還した伝説のリアルヒーロー 20 大葉健二」(東映ヒーローMAX vol.37掲載)
  25. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, pp. 71–79.
  26. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 264.
  27. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 265.
  28. ^ 北海道新聞』(縮刷版) 1973年(昭和48年)9月、テレビ欄。
  29. ^ 河北新報』1973年7月10日 - 9月4日付朝刊、テレビ欄。
  30. ^ 『河北新報』1973年10月14日 - 1974年4月7日付朝刊、テレビ欄。
  31. ^ 『河北新報』1973年4月5日 - 9月6日付朝刊、テレビ欄。
  32. ^ 『河北新報』1973年4月12日 - 8月30日付朝刊、テレビ欄。
  33. ^ 『河北新報』1973年4月5日 - 9月27日付朝刊、テレビ欄。
  34. ^ 新潟日報』1973年10月テレビ欄。
  35. ^ 信濃毎日新聞』1973年6月テレビ欄。
  36. ^ 山梨日日新聞』1973年10月テレビ欄。
  37. ^ 静岡新聞』1973年6月テレビ欄。
  38. ^ 中日新聞』1973年6月テレビ欄。
  39. ^ a b c 北國新聞』1973年4月5日付朝刊、テレビ欄。
  40. ^ 山陰中央新報』1973年6月テレビ欄。
  41. ^ a b 山陽新聞』1973年6月テレビ欄。
  42. ^ 高知新聞』1973年10月テレビ欄。
  43. ^ a b 西日本新聞』1973年6月テレビ欄。
  44. ^ 熊本日日新聞』1973年6月テレビ欄。
  45. ^ 『熊本日日新聞』1974年11月テレビ欄。
  46. ^ 宮崎日日新聞』 1973年7月テレビ欄。
  47. ^ 沖縄タイムス』1973年6月テレビ欄。
  48. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 128, 「東映まんがまつり画報」.
  49. ^ a b c d e f 変身ヒーロー大全集 1995, p. 156, 「変身ヒーローコミック書誌」
  50. ^ 東映×少年チャンピオン あの伝説のヒーローが漫画化!”. youtube (2014年1月15日). 2020年4月1日閲覧。
  51. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 152, 「原作者インタビュー 石ノ森章太郎」.
  52. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 153, 「石ノ森章太郎変身ヒーロー・コミックス」.






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