ルウィ語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 03:55 UTC 版)
形態論
ルウィ語の文法は基本的にヒッタイト語によく似ている。
楔形文字ルウィ語の名詞は単数と複数、生物と無生物の2つの性がある。男性と女性の区別は痕跡的に残っているという[5]。格は主格、呼格(単数のみで、使用はまれ)、対格、与格=処格、奪格=具格の5つがある。格語尾はインド・ヨーロッパ語族の他の言語のものと基本的に一致するが、ヒッタイト語と異なり、複数形では新たに発達した形を持っている[12]。
名詞が別の名詞を修飾するときに、属格のかわりに -assi- を加えて関係形容詞化することはルウィ語の大きな特徴で、ヒッタイト語とは異なっている。象形文字ルウィ語には単数属格が少しあるが、通常は楔形文字ルウィ語と同様に形容詞形を使う。リュキア語、カリア語、ピシディア語、シデ語、リュディア語 (-ali- を使用)などの西方アナトリア諸語も同様の特徴を持つ[13]。
象形文字ルウィ語では複数形で主格と対格が区別されない。また、無生物の主格・対格には必ず助辞 -sa/za が加えられる(楔形文字ルウィ語でも加えられることが多い)[12]。
数詞は通常表語文字で表記されるために語形がよくわからない[14]。
動詞はヒッタイト語と同様に人称と数、時制(現在と過去)、法(直説法と命令法)、態(能動態と中動受動態)で変化する[13][12]。ほかに分詞と不定詞がある。ヒッタイト語と同様にmi活用とḫi活用の区別がある。
統辞論
ルウィ語は基本的にSOV型だが、強調のために要素を前に出したり、動詞の後ろに持っていったりすることができる。形容詞は原則として修飾する語の前に置かれ、前置詞と後置詞の両方を持つ[14]。
多様な接語を持っていて、文の最初の要素の後に置かれるのはヒッタイト語と同様である[14]。
語彙
スワデシュ・リストのうちでルウィ語に確認される語彙は51語あり、うち39語(80%)がインド・ヨーロッパ語に由来する。フルリ語からは技術・祭祀関係のまとまった量の借用語が見られる[15]。
- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Luvian”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ a b Melchert 1994, p. 11.
- ^ a b c Melchert 2004, p. 576.
- ^ 高津 1964, p. 177.
- ^ a b c d Melchert 1995, p. 2155.
- ^ Melchert 2004, p. 578.
- ^ 高津 1964, pp. 157–158.
- ^ 高津 1964, pp. 178–183.
- ^ 吉田 2004, pp. 4–5.
- ^ Melchert 2004, p. 577.
- ^ a b Melchert 2004, p. 579.
- ^ a b c Melchert 2004, p. 581.
- ^ a b Melchert 1995, p. 2156.
- ^ a b c Melchert 2004, p. 582.
- ^ Melchert 2004, p. 583.
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