ルウェンゾリ山地とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 地域・地名 > 地形・地勢 > 山岳 > アフリカの山 > ルウェンゾリ山地の意味・解説 

ルウェンゾリ‐さんち【ルウェンゾリ山地】


ルウェンゾリ山地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/11 05:53 UTC 版)

東から山頂を望む
スタンレー山群
一番右にマルゲリータ峰

ルウェンゾリ山地(ルウェンゾリさんち、Ruwenzori Mountains[1])は、アフリカ中部、ウガンダコンゴ民主共和国の国境に位置する山地。小規模ながらも壮観な光景を持つ。最高峰の標高は5,109mである。ルウェンゾリの山頂付近は赤道直下にもかかわらず万年雪を冠しているが、アフリカ大陸で万年雪を戴くのはキリマンジャロ山ケニア山、そしてこのルウェンゾリだけである。ルウェンゾリ山地のほとんどは、「ルウェンゾリ山地国立公園」(ウガンダ)、「ヴィルンガ国立公園」(コンゴ民主共和国)として世界遺産に登録されている。また、ウガンダ側は2008年にラムサール条約登録地ともなった[2]

概要

ルウェンゾリ山地は、アフリカ大地溝帯に属する西リフトバレーの側面が隆起したことによって形成された。山地の長さは約120km、幅65kmである。この山地は、深い峡谷に区切られた6つの山塊から成り立っている[3]

  1. スタンリー山群英語版(Mount Stanley、5,109m)
  2. スピーク山群英語版(Mount Speke、4,890m)
  3. ベイカー山群英語版(Mount Baker、4,843m)
  4. エミン山群(Mount Emin、4,798m)
  5. ゲッシ山群(Mount Gessi、4,715m)
  6. ルイジ・ディ・サヴォイア山群(Mount Luigi di Savoia、4,627m)

スタンリー山群は最高峰であり、特にいくつかある山頂の中のマルゲリータ峰が標高5,109mとなっている[4]。300万年前のプレート運動で傾斜し、上方へ圧縮して片麻岩花崗岩からなる山体ができたと考えられている。

植生

標高3,400m付近に「ジャイアントロベリア」が生える

ルウェンゾリ山地は、熱帯雨林から高山草原、さらに雪原と、非常に多彩な植生を持つ山地であることが知られている。この山地は、すっぽりと雲に覆われていることから、非常に湿潤な地域になっている。コケに覆われた一部の地域には、6mにもなるヒースが生えていることで知られている。また、キキョウ科ミゾカクシ属の植物でいわゆる「ジャイアントロベリア」(: giant lobelia)の一種である Lobelia bequaertii De Wild. (sv(シノニム: Lobelia deckenii subsp. bequaertii(De Wild.)Mabb.[5]Lobelia wollastonii Baker f. (sv[6] が生えている地域もある。もちろん、マルミミゾウやいくつかの霊長類、固有種の鳥類など、多彩な植生と調和している個性的な動物相もまた優れたものである。

歴史

紀元後150年頃、プトレマイオスが『ゲオグラフィア』(: Geographia - 地理学)の中で、ナイル川の源流について記録した文章にあらわれる「月の山脈」(ラテン語: Lunae Montes)にルウェンゾリ山地が比定されることがしばしばある。しかし、そう決め付けるには、元の記述が曖昧に過ぎる。

この山地を最初に目撃したヨーロッパ人は探検家のヘンリー・モートン・スタンリーで、1889年であった。それ以前の20年ほどの間に目撃しうる立場にいた探検家たちは、山地が前述の雲に覆われていたことから視認できなかった。

1889年6月7日には、探検隊の副司令官で軍治責任者であったウィリアム・グラント・ステアーズ英語版(William Grant Stairs)が、10677フィート地点に辿り着き、非アフリカ人として最初の登山者となった。最初の登頂者は1906年に成功したルイージ・アメデーオ・ディ・サヴォイアである。

ルウェンゾリの氷河の後退

ルウェンゾリ山頂の氷河は20世紀以降の気候変動の影響を受けている。1906年には、6つの山に43もの名付けられた氷河が分布し、氷河が覆う総面積は7.5km2(当時のアフリカ氷河の約半分)であった。ところが2005年の観測では、わずか3つの山に約1.5km2 が残るに過ぎなくなっていた。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのリチャード・テイラーらの研究では、地球規模の気候変動にその原因が求められており、山地の植生生物多様性への影響が研究されている。

脚注

  1. ^ デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2018年4月7日閲覧。
  2. ^ Rwenzori Mountains Ramsar Site | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年1月23日). 2023年4月13日閲覧。
  3. ^ Rwenzori Abruzzi home page Archived 2008年3月5日, at the Wayback Machine.
  4. ^ 世界の名山・高峰 写真特集 ウガンダのルウェンゾリ山地”. 時事ドットコム (2006年6月14日). 2018年2月10日閲覧。
  5. ^ Angel (1998).
  6. ^ Coe (1989:265).

参考文献

関連項目




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ルウェンゾリ山地」の関連用語

1
カセセ デジタル大辞泉
100% |||||

2
キバレ国立公園 デジタル大辞泉
90% |||||

3
フォート‐ポータル デジタル大辞泉
90% |||||


5
72% |||||

6
ルウェンゾリ山地国立公園 デジタル大辞泉
56% |||||



9
50% |||||


ルウェンゾリ山地のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ルウェンゾリ山地のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのルウェンゾリ山地 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS