リングネーム プロレスラー

リングネーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/26 10:03 UTC 版)

プロレスラー

命名については、格闘家の持つイメージやその団体の売り出し方によって所属団体が付けることが多い。時にはジャンボ鶴田長州力のように公募によって決める場合もある。ギミックを用いる場合は、そのギミックを連想させるような名前が用いられることが多く、ギミック変更のたびにリングネームを変えるレスラーや、武藤敬司のようにギミックによってリングネームを使い分けて試合をするレスラーもいる。また、佐々木健介高梨将弘のように特定の団体においては別のリングネームを用いるレスラーも存在する。女子プロレスでは「強そうなイメージ」ではなく「可愛らしそうなイメージ」を強調するリングネームも存在する(ミミ萩原キューティー鈴木など)。

日本では、草創期のプロレスでは力道山ジャイアント馬場アントニオ猪木大木金太郎マッハ文朱など、本名とは異なる独自のリングネームを用いるのがごく普通であり、特にカタカナ+姓(または名)の2単語組み合わせが多かったため、坂口征二→ビッグ坂口・藤波辰巳→ドラゴン藤波、などの案も出たことがあるが本人の希望で本名のままとなっている。現在では本名をリングネームとするプロレスラーの比率が増加している。一方で名字は変えずに名前のみ変える場合があり、古くは山本勝→山本小鉄など、現在では佐野直喜→佐野巧真・飯塚孝之→飯塚高史・倉垣靖子→倉垣翼などの例がある(高田伸彦→高田延彦、尾崎まゆみ→尾崎魔弓、鈴木実→鈴木みのるのように本名と読み方同じで表記を変更したリングネームも。ただし、平田淳二→平田淳嗣は本名そのものを改名している)。さらに近年では、姓または名のどちらかをローマ字表記とする選手も増えている(田尻義博→TAJIRI小林健太→KENTA、秋野美佳→AKINOなど)。

大相撲出身のプロレスラーは、以前は相撲時代の四股名をそのままリングネームとすることが多かった。前出の力道山や豊登天龍源一郎が代表例だが、1980年代以降は相撲出身でも本名を名乗る例が多くなっている(田上明安田忠夫北尾光司など)。ただ依然として四股名由来の人物もおり、輪島大士(帰化後)は四股名と本名が同じで、力皇猛は四股名の同音異字(四股名は力猛)となっている。北尾も大関までは本名で取っていた。一方で若翔洋(WAKASHOYO)→馬場口洋一[注釈 1]のように当初四股名を名乗っていたのを本名に改めた例も存在する。特殊な例として大鷲透の場合、自身の四股名は朝鷲であり、リングネームは同じく元力士だった父の四股名である大鷲平に由来している。

アメリカでは本名のファーストネームの一部・ミドルネームを省略したり略称に変えたりしてリングネームとする例が多く、ニック・ボックウィンクルスタン・ハンセンディック・マードックボブ・サップなどが有名である。変わった例として、ストーン・コールド・スティーブ・オースチンは本名が著名なプロレスラーと同姓同名(スティーブ・ウィリアムス)であるため新たにリングネームを採用し、のちに本名の方をリングネームと同じ名前(スティーブ・オースチン)に改名している。

また、アメリカ、とりわけWWEでは団体がリングネームを登録商標とすることが多く、団体を離れたレスラーは同じリングネームを名乗れないことが多い。日本でもビッグバン・ベイダー(商標権は新日本プロレス)はUWFインターナショナルへ転出した時にスーパー・ベイダー、のち全日本プロレスに参戦した時にはベイダーに改名している。

なお、プロレスのリングネームにおいても四股名などと違って基本的に襲名はしない。現在4代目のタイガーマスク高木功が名乗る2代目・嵐、K-1ファイター草津賢治が父のリングネームを襲名した2代目・グレート草津、大分のプロレス団体に所属するVINNIが名乗る2代目・上田馬之助シャドウWXが名乗る3代目ミスター・ポーゴ、ジョセフ・カビボが名乗る2代目ザ・シークが数少ない例である。赤城マリ子は2代目とされているが、初代は「赤木まり子」と表記が異なっている。1960年代後半から1970年代に大木金太郎百田光雄[注釈 2]に「力道山襲名」という話が(大木は朝鮮半島出身で力道山と同郷、百田は力道山の次男という縁から)持ち上がったが、両方とも実現しなかった。これ以外にも長州力の一時引退後に佐々木健介が2代目を襲名するという話があったがこの話も流れた[7]メキシコルチャリブレでは2世レスラーが多いが、例えばエル・サントの息子はエル・イホ・デル・サントスペイン語で「エル・サントの息子」の意、またはジュニア)と名乗っていて、リングネームをそのまま襲名するわけではない。アメリカでは、ザ・デストロイヤーの息子のカート・ベイヤーのように、あえて父親のリングネームではなく本名を名乗る2世レスラーもいる。

日本での学生プロレスでは下ネタ絡みの名前や既存の著名人、著名なレスラーの名前をもじったリングネームをパロディの一環として用いることが多い。男色ディーノは学生プロレスのリングネームを職業人としてのプロレスでも使用している珍しい例である(「男色ディーノ」自体も漫画「魁!!男塾」の登場キャラクター「男爵ディーノ」が由来)。インディーズにおいても泉州力などオマージュとしてリングネームをつける例が存在する。また、JWP時代の渡辺えりか橋本真也をもじって「橋本真弥」としていた時期があった。

団体幹部の個人的な趣味で改名させられる例もある。豊登は改名魔として有名で、前出のアントニオ猪木や山本勝→山本小鉄のほか、佐野浅太郎大熊熊五郎高崎山猿吉といった「被害者」がいる。またWWEビンス・マクマホンは、かつて「ビンス・マクマホン・ジュニア」という名前だったのをジュニアを外した関係で、WWE入りした「ジュニア」が付くレスラーは全員ジュニアの付かない名前に改名させており、ドリー・ファンク・ジュニアすら例外ではなく「ホス・ファンク」に改名した。女子でもJWPでは1999年2月に当時のジュニア選手全員のリングネームの改名を決行し、上記の倉垣翼や橋本真弥の他、日向あずみ輝優優美咲華菜カルロス天野といったリングネームにされている。

プロレスでは演出上試合に負けた選手が強制的にリングネームを改名させられることも多い。望月享→横須賀享[8]→ジミー・ススム、梶ヤマト→梶トマトのように定着する場合もあるが、豊田魔波(豊田真奈美)など条件となった試合に勝利して元のリングネームに戻す方が多い。また、小波はリングネームを一文字ずつ賭けた試合に連敗したことでリングネームが一時的に消失した経験がある。

プロレスを引退して芸能界に転向する場合、リングネームをそのまま芸名とする場合がほとんどであるが、ストロング小林の場合、芸名を「ストロング金剛」として俳優・タレント活動を展開していた。

プロレスにおいてはレスラーのみならず、レフェリーもリングネームを名乗ることがある。ジョー樋口などレスラーから転向した際にリングネームをそのまま使い続けることが多いが、テッド・タナベのようなレスラー経験のない者もリングネームを使用したり、柳下まさみ→Tommyのようにレスラー時代と異なるリングネームを名乗る場合もある。


注釈

  1. ^ 現在は、プロレス参戦時のみWAKASHOYOを名乗っている
  2. ^ 百田光雄は海外修行中限定で「力道山ジュニア」を名乗った事もある。

出典

  1. ^ リングネーム変更届書式 日本ボクシングコミッション
  2. ^ 一般財団法人日本ボクシングコミッションルール 第20条リングネーム参照 日本ボクシングコミッション
  3. ^ ボクシング広報5月号 日本ボクシングコミッション
  4. ^ “「15文字」の長すぎるリングネームのボクサー 東洋太平洋戦決定”. デイリースポーツ. (2017年5月30日). https://www.daily.co.jp/ring/2017/05/30/0010236839.shtml 2023年4月13日閲覧。 
  5. ^ “日本最長リングネーム「ジャンボおだ信長本屋ペタジーニ」が本名・小田貴博で再起 14日後楽園…ボクシング”. スポーツ報知. (2020年12月8日). https://hochi.news/articles/20201208-OHT1T50138.html?page=1 2023年4月13日閲覧。 
  6. ^ タイ国所属ボクサーの招聘について日本ボクシングコミッション
  7. ^ 佐々木健介『光を掴め! 佐々木健介自叙伝』メディアワークス、1999年、p129.
  8. ^ 同団体選手の望月成晃との混同を避ける為、リングネームのコントラ・マッチが行われた。
  9. ^ 遊び心満載、米首都で女性だけの腕相撲大会”. AFP. 2019年11月16日閲覧。






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