リングネーム
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プロボクサー
日本ボクシングコミッション(JBC)では、プロテスト合格直後に初のボクサーライセンス申請書提出の際にリングネーム記入欄に記載、それ以外の場合もJBCにリングネーム変更届[1]として提出し、認められれば使用できる。ただし近年は戸籍上の姓名すなわち本名をそのまま使う場合が圧倒的である。
JBCコミッションルールにおいてリングネームは10文字以内(使用できる文字は、漢字・片仮名・ひらがなのみで、アルファベット・アラビア数字・記号などは不可)[2]、名字と名前を組み合わせたもののみリングネームとして認められているため、元K-1王者の藤本京太郎はボクシング転向後にリングネームを「京太郎」から本名に変更したり[3]、WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗はプロデビューから2019年まで「拳」を名字、「四朗」を名前として登録したように、現在は名前だけのリングネームは認められていない。また、JBCが2008年の女子ボクシング解禁の際、日本女子ボクシング協会において1単語のリングネームを使用していた選手が存在していた。そのため上記の規定に伴いリングネーム変更を余儀なくされ、ライカ→風神ライカのように別の単語、あるいはSAKURA→大内さくらのように本名の苗字を冠するなどの対処が行われた。
2017年までは文字数の制限はなかったが、当時国内最長リングネームだった「ジャンボおだ信長書店ペタジーニ」が15文字で「長すぎる」と批判されたため以降上限が設けられた[4][5]。
日本では外来語などのカタカナ語と本名の姓を組み合わせたリングネームが非常に多く、日本ボクシングの父渡辺勇次郎の「ヤング・ワタナベ」にはじまり「ファイティング原田」などが有名である。なお、「ファイティング」は原田の偉大な功績を称えJBCで欠名扱いで、現役選手が名乗る事は不可能になっている。過去に存在した国際ボクシングスポーツジムでは慣例として日本ランカー以上に対して、ロイヤル小林、レパード玉熊、セレス小林などこの形式でリングネームを命名した。加えて、阪東ヒーローなど姓→カタカナ語の順にしたものやスピーデー章、ジロリアン陸などカタカナ語に名(ファーストネーム)を組み合わせたもの、ストロング小林佑樹、ユーリ阿久井政悟などフルネームと組み合わせたもの、池原シーサー久美子などミドルネームにしたものも存在する。
同じ読み方で表記を変更する例も多い。新日本木村ジムでは読み方同じで小熊正二→大熊正二、赤木武幸→赤城武幸、日高和彦→飛天かずひこと表記を変更している。また、ヨネクラジムでは松本弘司→松本好二や西澤良徳→西澤ヨシノリ、その米倉健司会長は本名は米倉健治で現役時代は米倉健志とした。他のジムでは同様の例に角田紀子→つのだのりこ、三迫正廣→三迫将弘、新田渉世→新田勝世、長嶋健吾→長嶋建吾、高橋直人→高橋ナオト、河合丈也→河合丈矢、吉田健司→吉田拳畤、小林孝康→小林タカヤス、好川奈々→好川菜々、平仲信明が一時期名乗った平仲伸章、福島学が一時期名乗った福島仕など。一方、本名の表記を読みやすい漢字に変えたリングネームも存在する(多田悦子など)。変わった事例として輪島公一は試合の時にリングアナウンサーに「わじま・はむいち」と誤読されたことがキッカケで輪島功一に変更している。
これ以外に、姓はそのままで名前だけ変えたもの(ガッツ石松もデビュー当初は本名の鈴木有二で後に鈴木石松に変更、前出の平仲信明が世界タイトル獲得時には平仲明信、露崎元弥→露崎弥太郎、片岡昭雄→片岡昇、鬼塚隆→鬼塚勝也、松村謙二→松村謙一、門田新一→門田恭明など)、姓名順を逆にして名前の読み方や表記を変えたもの(シゲ福山、真教杉田、キンジ天野、コウジ有沢・カズ有沢、大之伸くまなど)、姓を変え名は字も読みも戸籍と一致させたもの(瀬川設男→川益設男、坂本幹男→安田幹男。瀬川は初の日本タイトル獲得や長期ブランク明け以降は本名)。
大相撲の四股名と違い、リングネームの襲名は基本的にしない。数少ない例としてウィリアム・ハリソン・デンプシーがジャック・デンプシーにあやかって同じリングネームにしている。一方で、引退したり改名により使用されなくなったリングネームの一部を拝借する形で名乗る例は存在する。内藤純一がモハメド・アリの改宗以前の旧名であるカシアス・クレイにあやかったカシアス内藤、小野寺正明がオサムジムの先輩西島洋介の旧リングネームである西島洋介山にあやかった小野寺洋介山、米国でもシュガー・レイ・ロビンソンから取ったシュガー・レイ・レナードなどの例が存在する。
日本のジムの所属する外国人選手は、日本人風のリングネームがつけられることが多い。八王子中屋ジムが米国出身者に与えたユージニオ・ゴメス→雄二・ゴメスやチャールズ・ベラミー→チャーリー太田、ハワイ出身日系人のポール・タケシ・フジイ→藤猛、八戸帝拳ジムが米軍三沢基地に勤務する選手に対して与えたフレデリック・ロバーツ→リック吉村や、在日コリアンでは通名でない金啓徳→千里馬啓徳やその愛弟子朴泰一→帝里木下、ケニア出身のフィリップ・ワルインゲ→ワルインゲ中山やモデスト・ナプニ→友伸ナプニ、メキシコ出身のヘルマン・トーレス→協栄トーレス・大関トーレスやミゲル・アンヘル・ゴンザレス→東京三太やロベルト・アルレドンド→チバ・アルレドンド、ジョー小泉(小山義弘)とのマネジメント契約締結により改名したフィリピン出身のルイシト・エスピノサ→ルイシト小泉やジョマ・ガンボア→ガンボア小泉、フィリピンからの輸入選手では他にロリー・ルナス→ロリー松下やノリト・カバト→スズキ・カバト、旧ソビエト連邦のトップアマからプロ入り果たしたユーリ・アルバチャコフやオルズベック・ナザロフが、一時期ユーリ海老原(海老原博幸にあやかる)やグッシー・ナザロフ(具志堅用高より)を名乗っていたのは、その一例である。だがユーリの場合、海老原がロシア語で卑猥な意味の単語「エビ」を連想させる為本人の希望で本名に戻し、さらにマネージャーマック金平が公募し新リングネーム「勇利アルバチャコフ」に変更された。また、オケロ・ピーターのように日本人同様姓名順にした例もある。タイ国出身のイーグル・デーン・ジュンラパンはスポンサー京和建物からイーグル京和。台湾(中華民国)出身の林明佳やパキスタン出身のフセイン・シャーの場合は所属先(ロッキー、角海老宝石)の名称に合わせロッキー・リンやフセイン角海老とし、モンゴル出身のラクバ・シンは横浜さくらボクシングジム所属選手としてラクバ拳士と名乗った。
逆に外国を拠点に活動する日本人選手が日本で試合をする際に外国人風のリングネームを名乗る場合もある。メキシコを拠点とした亀田和毅がかつて名乗った「トモキ・エルメヒカニート・カメダ」、韓国を拠点とした木村隼人が名乗った「柳準人(ユ・ジュニン、Joon in You)」など。
JBCルールでは他のプロスポーツや別の格闘技との兼業を禁じているため、他の格闘技から転向した者は上述の規程より前職時代とは別の名をリングネームにする場合が多いが、前職時代と同じリングネーム用いる者もいる(前者には大相撲力士だった郷の山→赤坂義昭、プロレスラーだったゼウス→ゼウス金谷。後者には総合格闘家だった赤林檎)。
タイではリングネームは選手の所属するジムの名前がつけられたり、スポンサーについた会社や商品名がつけられたりすることがある(サマン・ソーチャトロン、ウィラポン・ナコンルアンプロモーション、前出のイーグル京和もこれに該当)。また、デンカオセーン・カオウィチットのように試合のプロモーターが変わる度にリングネームが変わる選手もいる。2018年4月から、戦績詐称及び混乱防止を理由にJBC認定試合ではタイ人ボクサーのリングネーム使用が禁止された[6]。
アマチュアボクシングでは本名で選手登録し旧本名や表記変更以外のリングネームは認められない(お笑い芸人として「しずちゃん」の芸名を用いることがある山崎静代も一貫して本名を用いていた。なお、前出の好川菜々はアマチュア時代からこのリングネーム表記だった)。ただし、日本ボクシング連盟認可前の女子アマチュアボクシングでは真保輝子が一時名乗った「ハリケーン・輝」など一部リングネームも存在した。また、前出のシュガー・レイ・ロビンソンはアマチュア出場資格に年齢制限があることがわかり年上の友人から名義を借りて「レイ・ロビンソン」名義で出場し、その際「シュガー」と呼ばれたことでリングネームになった。
注釈
出典
- ^ リングネーム変更届書式 日本ボクシングコミッション
- ^ 一般財団法人日本ボクシングコミッションルール 第20条リングネーム参照 日本ボクシングコミッション
- ^ ボクシング広報5月号 日本ボクシングコミッション
- ^ “「15文字」の長すぎるリングネームのボクサー 東洋太平洋戦決定”. デイリースポーツ. (2017年5月30日) 2023年4月13日閲覧。
- ^ “日本最長リングネーム「ジャンボおだ信長本屋ペタジーニ」が本名・小田貴博で再起 14日後楽園…ボクシング”. スポーツ報知. (2020年12月8日) 2023年4月13日閲覧。
- ^ タイ国所属ボクサーの招聘について日本ボクシングコミッション
- ^ 佐々木健介『光を掴め! 佐々木健介自叙伝』メディアワークス、1999年、p129.
- ^ 同団体選手の望月成晃との混同を避ける為、リングネームのコントラ・マッチが行われた。
- ^ “遊び心満載、米首都で女性だけの腕相撲大会”. AFP. 2019年11月16日閲覧。
リングネームと同じ種類の言葉
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