ビゼーアン 日本において

ビゼーアン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 22:45 UTC 版)

日本において

秋吉石灰岩は大部分がビゼーアンから中期ペルム紀後期にあたるキャピタニアンにかけて[注 1]形成されたことが海綿動物サンゴ腕足動物頭足類有孔虫の化石から示されている。ビゼーアン階においては、玄武岩質の岩盤の上に外肛動物と四放サンゴおよび少量のシアノバクテリアといった造礁生物群集が小規模な礁を形成していた[15]

兵庫県養父市御祓山地域の石灰岩礫岩の転石から、ビゼーアンをはじめとする有孔虫群集が確認されている[16]。1981年に提唱された岩手県遠野市小友町荷沢東方に分布する加労山層も、6種類の腕足動物と2種類のサンゴ類の化石からビゼーアン階、おそらく上部ビゼーアン階とされている。また、加労山層と整合で重なる鬼丸層も上部ビゼーアン階の石灰岩からなる[17]。同県からは大船渡市日頃市地域からビゼーアンを示すコケムシ・ウミユリ・サンゴ・腕足動物が産出し、中国の下部石炭系からも報告されたリンボクに近縁な植物化石も得られている[18]

1924年に発表された研究では、茨城県日立市を模式地とする大雄院層の化石年代が石炭系ビゼーアン階として報告された。しかし詳細な堆積年代は求められておらず、マグマ冷却年代を算出できる火山岩も発見されていない。2011年には同層の雲母片岩から砕屑性ジルコンを利用した放射年代が求められ、3億9500万年前の前期デボン紀エムシアン階にあたる可能性が浮上した[19]

脚注

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参考文献





地質時代 - 顕生代[* 1][* 2]
累代 基底年代
Mya[* 3]
顕生代 新生代 第四紀 2.58
新第三紀 23.03
古第三紀 66
中生代 白亜紀 145
ジュラ紀 201.3
三畳紀 251.902

古生代 ペルム紀 298.9
石炭紀 358.9
デボン紀 419.2
シルル紀 443.8
オルドビス紀 485.4
カンブリア紀 541
原生代 2500
太古代(始生代) 4000
冥王代 4600
  1. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  2. ^ 基底年代の更新履歴
  3. ^ 百万年前

注釈

  1. ^ ただし、最下部は石炭紀の最初期にあたるトルネーシアンまで遡ることができる。

出典

  1. ^ INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART(国際年代層序表)”. 日本地質学会. 2020年4月15日閲覧。
  2. ^ 地質調査総合センター研究資料集 No.486 地質図─地質用語(TS図案:2008)”. 地質調査総合センター. p. 15. 2020年4月15日閲覧。
  3. ^ 鈴木寿志「地質年代区分2012」『日本地質学会第120年学術大会講演要旨(2013仙台)』、日本地質学会、2013年、 doi:10.14863/geosocabst.2013.0_629
  4. ^ Menning et al. (2006)
  5. ^ Menning et al. (2006)
  6. ^ Devuyst, F.X; Hance, L; Hou, H.-F; Wu, X; Tian, S; Coen, M; Sevastopulo, G. “A proposed Global Stratotype Section and Point for the base of the Visean Stage (Carboniferous): the Pengchong section, Guangxi, South China”. Episodes 26 (2): 105–115. doi:10.18814/epiiugs/2003/v26i2/004. https://doi.org/10.18814/epiiugs/2003/v26i2/004. 
  7. ^ Nemyrovska, T.I (2005). “Late Visean/early Serpukhovian conodont succession from the Triollo section, Palencia (Cantabrian Mountains, Spain)”. Scr. Geol 129: 13–89. doi:10.18814/epiiugs/2003/v26i2/004. https://doi.org/10.18814/epiiugs/2003/v26i2/004. 
  8. ^ Heckel, P.H; Clayton, G (2006). “The Carboniferous system, use of the new official names for the subsystems, series and stages”. Geologica Acta 4 (3): 403–407. doi:10.1344/105.000000354. https://doi.org/10.1344/105.000000354. 
  9. ^ Ward, P.; Labandeira, C.; Laurin, M; Berner, R (2006). “Confirmation of Romer’s Gap as a low oxygen interval constraining the timing of initial arthropod and vertebrate terrestrialization”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103 (45): 16818-16822. doi:10.1073/pnas.0607824103. https://www.pnas.org/content/103/45/16818.short. 
  10. ^ 大量絶滅から生物回復までに要した歳月は3600万年 研究」『AFP BB NEWS』フランス通信社、2020年1月27日。2020年7月16日閲覧。
  11. ^ 胡忠恒「黄汲清氏の中国地質構造論-続篇」『地学雑誌』第68巻第2号、東京地学協会、1959年6月30日、 43-44頁、 doi:10.5026/jgeography.68.89
  12. ^ 坂田健太郎、中澤努、岡井貴司、上野勝美「秋吉帯の海洋島起源の石炭紀—ペルム紀石灰岩におけるリンの偏在」『地質調査研究報告』第66巻第11/12号、産業技術総合研究所、2015年12月25日、 207-211頁、 doi:10.9795/bullgsj.66.199
  13. ^ 佐野弘好、杦山哲男、長井孝一、上野勝美、中澤努、藤川将之「秋吉石灰岩から読み取る石炭・ペルム紀の古環境変動 -美祢市(旧秋芳町)秋吉台科学博物館創立50周年記念巡検-」『地質学雑誌』第115巻補遺、日本地質学会、2009年、 76-77頁、 doi:10.5575/geosoc.115.S71
  14. ^ 田沢純一「南部北上帯奥火の土の有住層から産出した前期石炭紀腕足類,レビトゥシア・フメローサとグランディスピリファー・ミルケンシス」『化石』第107巻、日本古生物学会、2020年3月30日、 41-42頁、 doi:10.14825/kaseki.107.0_41
  15. ^ 藤川将之、中澤努、上野勝美「石炭-ペルム系秋吉石灰岩の堆積作用とカルスト化作用」『地質学雑誌』第125巻第8号、日本地質学会、2019年8月15日、 611-614頁、 doi:10.5575/geosoc.2019.0024
  16. ^ 小林文夫. “兵庫県養父市御祓山地域のペルム系舞鶴層群の石灰岩礫岩から産する先キャピタニアン( 先ペルム紀中期後葉) 有孔虫類 —兵庫県産古生代後期・中生代前期有孔虫類,その14—”. 人と自然 (兵庫県立人と自然の博物館) 27: 71-80. doi:10.24713/hitotoshizen.27.0_71. https://doi.org/10.24713/hitotoshizen.27.0_71. 
  17. ^ “南部北上山地荷沢地域の下部石炭系”. 東北大學理學部地質學古生物學教室研究邦文報告 83: 21-30. (1981-03-28). ISSN 00824658. https://hdl.handle.net/10097/00115889. 
  18. ^ 浅間一男、浅野輝、佐藤悦郎、山田弥太郎「南部北上山地の日頃市層より発見された前期石炭紀植物化石について(予報)」『地質学雑誌』第91巻第6号、日本地質学会、1985年6月15日、 doi:10.5575/geosoc.91.425
  19. ^ 田切美智雄、堀江憲路、足立達朗「阿武隈山地南部,ジルコンU-Pb年代値に基づく日立変成岩類層序の再定義と日本海形成前の東北日本列島基盤の復元」『地質学雑誌』第122巻第6号、日本地質学会、2016年6月15日、 234頁、 doi:10.5575/geosoc.2016.0012


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