カラムシ カラムシの概要

カラムシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/08 13:37 UTC 版)

カラムシ
カラムシ(東京都町田市・2005年9月)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: バラ目 Rosales
: イラクサ科 Urticaceae
: カラムシ属 Boehmeria
: ナンバンカラムシ B. nivea
変種 : カラムシ var. nipononivea
学名
Boehmeria nivea var. nipononivea
和名
カラムシ
英名
Ramie

また、カツホウ、シラノ、シロソ、ソロハ、シロホ、ヒウジ、コロモグサ、カラソともいう[1]古代日本においては「ヲ」という表記もある。

特徴

茎はまっすぐに立つか、やや斜めに伸びて高さ1-1.5mに達する。の大きさは最大15cmほどで、縁に細かい鋸歯(ギザギザ)があり、つやがない。若葉は細かいしわがあり縮んだ状態である。葉の裏側は細かい綿毛が密生していて白く、ふとしたことで葉が裏返ると白く目立つ。葉は茎に互生し、根元に近い葉ほど大きく、葉柄も長くなる。

は8月-10月にかけて咲き、葉柄の根もとに小さな花が房状につく。雄花と雌花があるが雌雄同株で、雌花が株の上のほうにつく。風によって花粉を運ぶ風媒花で、鮮やかな花びらもなくあまり目立たないが、カラムシが多い地域では花粉症の原因ともなる。

林の周辺や道端、石垣などのやや湿った地面を好む。地下茎を伸ばしながら繁茂するので群落を作ることが多い。刈り取りにも強く、地下茎を取り除かなければすぐに生えてくる。地上部の高さは1mほどだが、半日陰で刈り取りがない環境ではまでに高さ2mに達し、株の根元付近が木化(木質化)する。地上部は寒さに弱く、が降りると葉を黒褐色にしおれさせ枯れてしまうが、地下茎は生き残って翌春には再び群落を形成する。細い茎は葉と共に枯れてしまうが、太い茎は冬を乗り越え、春に新芽を吹く。

変異

日本本土ではカラムシが普通だが、変異が多い。和名をカラムシとするものを独立種とする扱いもあり[2]、その場合の学名は B. nipononivea Koidz. である。しかし、日本本土産のものは真の自生ではなく、栽培逸出の可能性も示唆されており、現在ではナンバンカラムシの変種とする扱いが普通である。葉の裏面が緑色のものがあり、これをアオカラムシ Forma concolor (Makino) Kitam. という。沖縄では葉の裏面が白いが棉毛がないものが多く、これにノカラムシ B. nivea var. viridula (Yamamoto) Hatsusima の名が与えられている[3]が、現在はこれを認めているところを見ない。

原名亜種のナンバンカラムシ B. nivea var. nivea は葉や葉柄に粗い毛があり、また茎はより木質化して高く伸びる。熱帯アジア原産で沖縄には普通に見られるが、これも持ち込まれた可能性が示唆される。

同様に繊維をとるために栽培される、さらに大きいラミーRamie、学名:B. nivea var. candicans)もこの種に含まれる。

なお、北村・村田(1961)はカラムシをマオとともにナンバンカラムシの別名としており、カラムシの和名にはクサマオを当てている。

利用

カラムシ畑 福島県昭和村

今でこそしつこい雑草として嫌われる場合もあるが、茎の皮から採れる靭皮繊維は麻などと同じく非常に丈夫である。んで取り出した繊維を、紡いでとするほかに、糾綯あざなって紐や縄にし、また荒く組んで網や漁網に用い、たていとよこいとって布にすれば衣類としても幅広く利用できる。分布域では自生種のほかに、6000年前からヒトの手により栽培されてきた。

栽培種のラミーは、中国をはじめ、ブラジルフィリピンインドネシア等で栽培されている。中国では年3-4回、フィリピンでは5-6回の収穫が可能である[4]


  1. ^ マオからカラソまでは後藤捷一「庶民の染織」101頁による。日本常民文化研究所・編『日本の民具』角川書店、1958年所収。
  2. ^ 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本II 離弁花類』(平凡社、1982年)
  3. ^ 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』(沖縄生物教育研究会、1975年)
  4. ^ ラミー(苧麻)について”. 日本麻紡績協会. 2019年12月20日閲覧。
  5. ^ a b 日本におけるラミー生産の沿革について”. 日本麻紡績協会. 2019年12月20日閲覧。
  6. ^ 宮古上布とは”. 宮古織物事業協同組合. 2019年12月20日閲覧。
  7. ^ 苧麻糸手績み - 文化遺産オンライン文化庁
  8. ^ 苧麻糸手績み - 国指定文化財等データベース(文化庁


「カラムシ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カラムシ」の関連用語

1
苧屑 デジタル大辞泉
100% |||||

2
野真麻 デジタル大辞泉
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
98% |||||

8
98% |||||


10
98% |||||

カラムシのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カラムシのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカラムシ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS