アフリカゾウ 分布

アフリカゾウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 07:45 UTC 版)

分布

アフリカ西部、中部、南部にかけて生息している[7]

形態

頭胴長(体長)6 - 7.5メートル[4][6]。尾長1 - 1.3メートル[6]。肩高3 - 3.9メートル[5]。最大体重10トンと、現生する陸棲動物では最大種[5]皮膚は分厚く、多くのがある[5]。皺の多い皮膚は、水浴びにより水分を蓄えるのにも適している[6]。皮膚の色彩は灰色[5]。老齢個体ではピンク色[4]

耳介は非常に大型で幅広く、放熱や体温調節などに役立つと考えられている[5]門歯(牙)は、雌雄共に発達する[5]オスでは最大350センチメートルに達する[5]。この牙は争いや、や木の根を食べるために土を掘る時に用いられる[5]。生後30年ほどのオスは、興奮すると側頭部から液体が分泌される(マスト)[6]の先端には、上下にそれぞれ1つずつ突起がある[6]

2014年に発表されたゲノム配列が決定している哺乳綱13種の嗅覚受容体の解析では、本種の嗅覚受容体の機能遺伝子数は1,948(比較対象として他種ではラット1,207、ウシ1,186、マウス1,130、ウマ1,066、イヌ811、ヒト396など)という解析結果が得られている[8]

出産直後の幼獣は肩高85 - 140センチメートル、体重90 - 135キログラム[5]

分類

分子系統解析から、亜種マルミミゾウ(シンリンゾウ)を独立種として分割する説もある[5]。さらには第3の種の可能性として“West African Elephant”も提示されており、これによりアフリカゾウ属が3種に分割される可能性も示唆されている。2008年の時点でIUCNレッドリストではより広域での検証が必要であるとして扱いを保留し、マルミミゾウも亜種として本種に含めている[3]

Loxodonta africana africana (Blumenbach, 1797) サバンナゾウ[4][5] Savanna elephant[4]
前肢の蹄は4本、後肢の蹄は3本[4][5]
Loxodonta africana cyclotis Matschie, 1900 シンリンゾウ[5]、マルミミゾウ[4][5][6] Forest elephant[4]
頭部や耳介が丸みを帯びる[5]は細く直線的で下方に向かう[4][5]前肢は5本、後肢の蹄は4本[4][5]

注釈

  1. ^ ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ共和国の個体群はワシントン条約附属書II

出典

  1. ^ Appendices I, II and III (valid from 28 August 2020)<https://cites.org/eng> (downroad 09/24/2020)
  2. ^ a b UNEP (2020). Loxodonta africana. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (downroad 09/24/2020)
  3. ^ a b c d e f g h Blanc, J. 2008. Loxodonta africana. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T12392A3339343. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T12392A3339343.en. Downloaded on 24 September 2020.[リンク切れ]
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Richard F. W. Barnes 「ゾウ」犬塚則久訳『動物大百科 4 大型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、8-16頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al 小原秀雄 「アフリカゾウ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、36-40、154頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 祖谷勝紀 「最大の陸生動物」『動物たちの地球53 哺乳類II 5 ゾウ・サイ・シマウマほか』増井光子編著、朝日新聞社、1992年、132-137頁。
  7. ^ IUCN Red List of Threatened Species”. 2023年3月11日閲覧。
  8. ^ Yoshihito Niimura, Atsushi Matsui, Kazushige Touhara "Extreme expansion of the olfactory receptorgene repertoire in African elephantsand evolutionary dynamics of orthologousgene groups in 13 placental mammals," Genome Research, Volume 24, Number 9, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2014, Pages 1485 - 1496.
  9. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2020年9月24日に利用)
  10. ^ a b 牙のないゾウが増えている、原因は密猟”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2023年5月15日閲覧。
  11. ^ Darimont, Chris T.; Pelletier, Fanie (2021-10-22). “Of war, tusks, and genes” (英語). Science 374 (6566): 394–395. doi:10.1126/science.abm2980. ISSN 0036-8075. https://www.science.org/doi/10.1126/science.abm2980. 






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