やまだ紫 経歴

やまだ紫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/29 20:13 UTC 版)

経歴

東京都世田谷区出身。1966年、私立富士見丘高等学校卒業後に詩の同人会『しちにん』へ参加。翌年からデザイン事務所勤務の傍ら、虫プロ商事(手塚治虫主宰)の漫画雑誌『COM』へ漫画作品の投稿を始める。

1969年、『COM』5月号でデビュー。以降同誌に精力的に作品を発表する。『COM』廃刊後は『ガロ』(青林堂)に発表の場を移し、1971年2月号に『ああせけんさま』が入選。1972年には漫画賞きっての難関であった『ビッグコミック賞』に「風の吹く頃」で佳作3席。

以後、結婚・出産による一時休筆を経て、『ガロ』誌上で『性悪猫』『しんきらり英語版』などの作品を立て続けに連載する。長井勝一(ガロ編集長)、つげ義春(漫画家)、上野昻志(評論家)らから高い評価を得ている。

なお、無名時期の杉浦日向子(漫画家から後に江戸風俗研究家に転身)や近藤ようこ(漫画家)がアシスタントとして参加していることは有名。のちに『ガロ』からデビューした杉浦、近藤と「ガロ三人娘」と呼ばれた。

1980年代からは、女性詩人の大家である吉原幸子主宰の『現代詩ラ・メール』に詩画連載『樹のうえで猫がみている』を発表した。またH氏賞高見順賞受賞詩人でもある井坂洋子と合作『夢の迷子たち』などを刊行している。

1989年第15回参議院議員選挙には、ちきゅうクラブ公認で比例区から立候補したが落選している。

毎日新聞 生活家庭欄連載のイラストエッセイ『お勝手に』は1994年から3年という異例の長期連載となった[注 1]。1992年2月からは筑摩書房より『やまだ紫作品集』全5巻の刊行が始まり、それぞれの解説には山田太一、井坂洋子、久田恵、上野昻志らが執筆。

1993年には『ガロ』2・3合併号でやまだ紫特集が組まれ、その際はつげ義春高橋章子、井坂洋子、内田春菊黒川創らがコメントや文章を寄せた。

1997年3月には漫画家としては早い時期に公式サイト「やま猫SOMETIMES」をオープンしている[1][2]

2002年に腎臓摘出手術を受けた後は、術後の患部の痛みや膵臓炎による1型糖尿病とも戦い、入退院を繰り返すようになる。

2004年からは歌人宮柊二主宰「コスモス」よりの依頼で詩画連載「見上げれば虹」を連載(大学教授就任で中断)。

2006年から京都精華大学マンガ学部マンガ学科ストーリーマンガコースの専任教授に就任、後進の指導にもあたった[3][4]

2007年から京都に在住。

2009年5月5日 午前4時16分、京都市内の病院にて脳内出血のため死去[5]。60歳没。


注釈

  1. ^ 東京本社版と西部本社版のみに掲載。西部本社版は連載途中で打ち切り。[要出典]
  2. ^ 1998年2月、文化庁メディア芸術祭マンガ部門で大賞受賞。

出典

  1. ^ ようこそやまねこねっとへ!ここはやまだ紫の公式ホームページです。”. やまねこねっと. やまだ紫. 2002年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2002年9月30日閲覧。
  2. ^ 漫画家やまだ紫の全著作、作品データ、年譜(を制作中)のページ”. やまだ紫オフィシャルサイト. やまだ紫. 2017年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月31日閲覧。
  3. ^ 学部新設・学部再編ニュース”. 京都精華大学. 京都精華大学. 2006年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年10月12日閲覧。
  4. ^ 白取千夏雄 (2005年1月29日). “やまだ紫が京都精華大学芸術学部の講師に”. FC2ブログ. 白取特急検車場【闘病バージョン】. 2021年8月21日閲覧。
  5. ^ 白取千夏雄 (2009年5月5日). “やまだ紫 永眠”. gooブログ. 白取特急検車場【闘病バージョン】. 2009年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年5月11日閲覧。


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