Φ Φの概要

Φ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 08:35 UTC 版)

ギリシア文字
Αα アルファ Νν ニュー
Ββ ベータ Ξξ クサイ
Γγ ガンマ Οο オミクロン
Δδ デルタ Ππ パイ
Εε エプシロン Ρρ ロー
Ζζ ゼータ Σσς シグマ
Ηη イータ Ττ タウ
Θθ シータ Υυ ウプシロン
Ιι イオタ Φφ ファイ
Κκ カッパ Χχ カイ
Λλ ラムダ Ψψ プサイ
Μμ ミュー Ωω オメガ
使われなくなった文字

()
ディガンマ サン
ヘータ ショー
ギリシアの数字
スティグマ
()
サンピ

()
コッパ

キリル文字Фはこの文字に由来する。

音声

古代ギリシア語では無声両唇破裂音の帯気音 /pʰ/現代ギリシア語では無声唇歯摩擦音 /f/ を表す。摩擦音への変化がいつごろ起きたかは正確にはわからないが、ビザンチン時代には摩擦音になっていたようである[1]

起源

古代ギリシア語には3つの帯気音 /pʰ tʰ kʰ/ があった。このうち/tʰ/にはフェニキア文字を転用することができたが(θ)、それ以外は適当なフェニキア文字が存在しなかった。クレタ島およびその周辺のテーラーメーロスでは文字を追加せず、/pʰ/ の音は単に「Π」と書くか、または「ΠΗ」の2文字で表記したが[2]、それ以外の地域では新たに「Φ」の字を追加した。

この文字の起源については議論が分かれる。古代の文字名称はペー(φεῖ)で、この名は明らかに「π」からの類推によってつけられた[3]。紀元前4世紀の末に ει/iː/ と発音されるようになり、その影響で文字名称も φῖ とされることが普通になった。近代西洋諸言語の名はそれにもとづく[3]

記号としての使用

  • 小文字の「φ」()は、
    • 幾何学で、θに次いで角度を表す(球面座標系など)。
    • 数学で正整数 n に対し1から n までの整数のうち互いに素なものの個数を与える関数: オイラー関数 φ(n) として使用される(なお,数学の集合においては,空集合の意味を表す)。
    • また、黄金比の記号としても用いられ、である。
    • 素粒子物理学では、ストレンジクォークとその反クォークからなるファイ中間子 を表す。
    • 量子力学ではψとともに波動関数を表す。
    • 場の理論(場の古典論場の量子論)では、場を表す変数・演算子として使われる。
    • 電気工学単相交流を「1」、三相交流を「3」と記述することがある。
    • 地質学において粒径区分に使用される。詳細は砕屑物を参照。
    • またφ,Φを区別するため、前者をやわらかいファイやバルファイ、後者をかたいファイやファイと呼ぶことがある。
    • また,一般的には「空(から)」をイメージする語として使用されることもあり,そのような意味の代替語として使われる場合もある。

  1. ^ Allen (1987) pp.18-26
  2. ^ Threatte (1996) p.272
  3. ^ a b Allen (1987) p.170
  4. ^ “Representative Glyphs for Greek Phi” (PDF). UTR #25: Unicode support for mathematics. http://unicode.org/reports/tr25/#_Toc231 


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