けんび‐じゅせい【顕微授精】
読み方:けんびじゅせい
顕微鏡を使って精子と卵子を受精させる方法。不妊治療として用いられ、広い意味での体外受精に含まれる。卵細胞に直接精子を注入するため、精子の運動率や形態に異常がある場合にも受精が可能となる。顕微授精は不妊治療の最終段階に位置づけられており、乏精子症や精子無力症などには特に有効とされる。
[補説] 顕微授精の操作は胚培養士が行う。ICSI(イクシー)法(卵細胞質内精子注入法)、PZD法(透明帯開孔法)、SUZI法(囲卵腔内精子注入法)などの方法があるが、現在はICSI法が主流。卵は卵胞の発育状況をみながら採卵し、精液は洗浄・濃縮したうえで、顕微鏡下で細いガラス管に精子1個を吸引し、1個の卵子の細胞質内に注入する。通常は、採取済みの正常な卵子すべてについて顕微授精を行い、胚培養室で培養する。胚が発育しているかどうかは24〜72時間でわかる。正常に発育した受精卵は、通常の体外受精と同じように子宮内に戻す。顕微授精によって誕生した子どもは、世界で数万人に上るとされる。
顕微授精
顕微授精
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 09:17 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動顕微授精 | |
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治療法 | |
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MeSH | D020554 |
顕微授精(けんびじゅせい)とは、体外受精の1種で(体外受精から独立していると言う考えもある)精子を直接卵子に注入する方法である。
工程
排卵誘発
- 点鼻薬・注射等により、卵子の成熟を増進させ1ヶ月に数個(自然周期で1個)の卵子を体内で作らせる。これは、卵子が多い方が妊娠率が高いためであり、月経3日目から服用する。
採卵
精子採取
顕微授精
顕微授精のリスク
[1]ヒト運動精子の中にはDNAが損傷されていたり、受精する能力が障害されていたり、多様な機能異常の精子が含まれており、一概に「運動精子だから機能が良好であり、運動精子を用いたARTは安全である」とは言えない。 最も怖いことは、顕微授精という技術は、精子の量的不足(精子数が少ない)を補うことはできるが、精子の質的低下(DNA損傷を含む精子機能の異常)を克服することはできないので、例えばDNAが傷ついた機能異常精子でも人為的に授精させてしまうというリスクを伴う。そのため、実は、顕微授精は精子の状態が悪い方には不向きの治療である。
顕微授精と自閉症スペクトラム障害の関係性
[2]海外の長期大規模疫学調査の結果と見解では、2015年にコロンビア大学教授のピーター・ベアマン氏らの長期大規模疫学調査の結果が『American Journal of Public Health』という雑誌に掲載されました。その内容は、カリフォルニア州で1997〜2007年に出生した590万例の小児に関するデータを元に分析されたのもので、「顕微授精に代表される生殖補助医療で生まれた子どもは、自然に妊娠して誕生した子どもに比べ、自閉症スペクトラム障害(社会性、コミュニケーション、行動面の困難を伴う発達障害の総称)であるリスクが2倍である」という調査結果の報告でした。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
- “顕微授精に関する見解”. 日本産科婦人科学会 (2006年5月19日). 2015年12月15日閲覧。
顕微授精と同じ種類の言葉
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