ちし‐いんし【致死因子】
読み方:ちしいんし
致死因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 16:50 UTC 版)
致死因子 (LF) は、メタロプロテアーゼ(金属プロテアーゼ)としての活性を持ち、亜鉛イオン (Zn+) を触媒として、特定の標的タンパク質を分解する。LFもまた、上述したPAの働きによって取り込まれた後、細胞質でプロテアーゼとして働くが、LFの標的分子はMAPKK(MAPキナーゼキナーゼ)と呼ばれる、重要な細胞内シグナル伝達(情報伝達)に関与しているタンパク質リン酸化酵素である。MAPKKは、MAPK(MAPキナーゼ)をリン酸化し、さらにMAPKが他の多様なタンパク質(c-Mycなど)をリン酸化することで、細胞の増殖や生存に必要なタンパク質の合成を制御している。LFはこのMAPKKを分解してしまうため、LFが作用した細胞は死んでしまい、その結果、組織レベルでは出血や壊死などの病変が現れる。炭疽症のときに見られる病巣部の黒変も、このLFの働きによって組織が出血性壊死を起こすためである。
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