hTERTの調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:35 UTC 版)
「テロメラーゼ逆転写酵素」の記事における「hTERTの調節」の解説
hTERTの遺伝子は5番染色体に位置しする35 kbにわたる配列で、16のエクソンと15のイントロンから構成される。hTERTのコアプロモーター領域には、翻訳開始部位の上流330塩基対とエクソン2の37塩基対が含まれる。hTERTのプロモーターはGCに富みTATAボックスやCAATボックス(英語版)はみられないものの、転写因子の結合部位が多く含まれることから、さまざまな細胞状況に応じて複数の因子による高度な調節が行われていることが示唆される。hTERTを活性化する転写因子にはc-Myc、Sp1、HIF-1、AP2(英語版)など多くのがん遺伝子が含まれる一方、p53、WT1(英語版)、MEN1(英語版)など多くのがん抑制遺伝子がhTERTの活性を抑制する。hTERTのアップレギュレーションの他の方法としてはプロモーター領域近傍のヒストンの脱メチル化によるものがあり、胚性幹細胞(ES細胞)で見られるトリメチル化ヒストンの低密度状態が模倣される。その結果、遺伝子の転写が行われるよう配列を巻き戻すためにヒストンアセチル化酵素がリクルートされる。 テロメラーゼの欠乏は多くの場合、加齢、がん、先天性角化異常症(英語版)、Cri-du-chat症候群と関係している。一方、hTERTの過剰発現は多くの場合がんと腫瘍形成に関係している。hTERTの調節は幹細胞やがん細胞の維持に極めて重要であり、再生医学の分野でも複数の方法で利用されている。
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