XGフォーマットの制定前(1994年)
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「XGフォーマット」の記事における「XGフォーマットの制定前(1994年)」の解説
ヤマハは1993年にTG300というGM対応の音源モジュールを発売した。TG300はGMだけではなく、ローランド社の規格であるGSに対応した音色配列モードを持っていた。これは、この時点でGSがDTMの音色配列規格のデファクトスタンダードを確立していたためであった(TG300が発売されていた時点ではGMの上位規格はGSに統一されていた)。しかし、TG300はライバル機であったSC-55mkIIに比べて割高な値段設定などの理由で、ヒット商品とはなりえなかった。そのため、TG300の後継機MU80を発売する際に、ライバル機として認知されること、ヤマハの独自性を維持するため、ヤマハは独自の規格「XG」を作ることにした。新たに3つ目の音色配列規格を作ることはユーザの混乱を招く可能性があったが、XG規格を制定した理由としては、GSはローランドの独自規格であるため、音色の原波形やフィルター、エフェクトやそのかかり方にローランド社固有の特性があり、他社が100%の再現性を保証することは困難であったこと、そして、もしローランドのOEMを受けて100%再現できるように設計した場合、逆にヤマハの独自性が維持できない、などがあったためと考えられている。また本来MIDI音源の音色配列規格は厳密な互換性を要求されるものではなく、ピアノならピアノ、ギターならギターと同じ種類の音色が鳴ればよいという程度の緩やかな規格であったことも、新しい規格を作ることを容易にした。この結果、独自にXG規格をつくる一方で、GSをシミュレートするTG300-BモードもXG音源に残すという方法をとったものと思われる。
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