TADFに影響する因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 03:22 UTC 版)
「熱活性化遅延蛍光」の記事における「TADFに影響する因子」の解説
TADF素材のいくつかの鍵となる速度論的性質が、それらが熱損失経路を最小化しながら蛍光によって光を効率的に生成する能力を決定する。kRISCと呼ばれる逆項間交差の速度は非輻射三重項経路と比較して相対的に高くなければならない。三重項-三重項消滅、三重項消光、あるいは熱減衰のようなほとんどの非輻射三重項経路は1マイクロ秒のオーダーで起こり、典型的に10ナノ秒オーダーである蛍光発光と比較して長い。もう1つの重要な性質がΔESTと呼ばれる一重項エネルギーレベルと三重項エネルギーレベルの差である。このエネルギーギャップが小さいほど、周囲の分子の平均熱エネルギーのより近づく。利用可能な熱エネルギー(室温で~25.6 meV)のオーダーに接近したΔESTを持つ素材は、ほとんどあるいは全く熱損失経路を伴わずに三重項状態からの逆項間交差を効果的に経験できる。このように、このエネルギーギャップの最小化は、TADF過程が励起三重項が用意に励起一重項に変換できる時にのみ起こるため、潜在的なTADF素材を合成するうえで最も重要な因子であると考えられている。このエネルギーギャップを最小化するためにこれまで利用された最も有効な戦略は、同一分子上に空間的に離れて互いにねじれたドナー(供与体)およびアクセプター(受容体)部分を持つ分子を合成することである。これはスピン結合によって引き起こされる三重項状態と一重項状態の差を効果的に減少させ、ΔESTを減少させる。
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