T4ファージの研究における利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 10:24 UTC 版)
「T4ファージ」の記事における「T4ファージの研究における利用」の解説
1940年代から現在に至るまでT偶数ファージは最も研究されてきたモデル生物である。モデル生物には一般にできるだけ単純なゲノム構造が必要とされる。一方でT偶数ファージはウイルスとしては最大級でかつ複雑なウイルスであり、約160種の遺伝子を持つ。また、他のウイルスではありえない、ヒドロキシメチルシトシン(HMC)がシトシンの代わりに存在するという特徴を持つ。しかもこのHMCは特定のパターンで糖鎖修飾を受ける。また、T偶数ファージは遺伝子発現制御にも独自の特徴を持つ。このような特徴によりT偶数ファージは、薬剤耐性の伝播を担う形質導入、新しい酵素などの形質の獲得に関わる溶原変換、変異をもたらす細菌ゲノムへのランダムな挿入、細菌の疫学的型別への応用、さらには遺伝子工学におけるクローニングベクターとしての利用といった重要な意義を持つ。例えば、遺伝子ライブラリやモノクローナル抗体のライブラリの構築にはファージが用いられる。さらにはファージは自然環境下で水から細菌を除去する作用も持つ。
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