SD Myers事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/20 10:23 UTC 版)
「投資家対国家の紛争解決」の記事における「SD Myers事件」の解説
カナダのPCB廃棄物を米国で処理していたアメリカ系企業がカナダ政府の廃棄物輸出禁止措置によって事業停止に至ったため、その損害賠償を求めて1998年に提訴した。仲裁廷は、当事国に高い環境保護を設定する権利がある一方で環境保護に偽装した規制は認められないとの判断基準を示したうえで、国内産業の保護を目的とした規制だったと認めるカナダ政府高官の発言や裁判所の判断があったこと、アメリカの処理業者の方が運搬距離が近いため事故や汚染の危険性がより少なかったこと、カナダの処理業者が国内企業1社しかなくアメリカの処理業者に競争力で劣っていたこと等を理由として、カナダ政府の規制が環境保護政策に偽装した自国業者の保護政策だと認定し、カナダ政府に5300万ドルの賠償を命じた。 尚、内国民待遇(第1102条)の解釈は協定の法的文脈を考慮する必要があり、保護主義的な意図は重要であるが必ずしも決定的ではなく、措置の実際の影響が必要要件であるとし、公正衡平待遇(第1105条)の解釈は国際法に従った待遇と解釈すべきであるとした。
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