Process Field Busとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Process Field Busの意味・解説 

Profibus

(Process Field Bus から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 09:18 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
PROFIBUSのコネクタ

PROFIBUS (Process Field Bus) はファクトリーオートメーションにおけるフィールドバス(en:Fieldbus)通信の標準の1つで、ドイツ連邦教育・研究省が1989年に助成を開始した。産業用イーサネットの規格であるPROFINET英語版ドイツ語版とは異なる。

始まり

PROFIBUSの歴史は、ドイツで1987年に21の企業や研究所が集まってフィールドバスの開発計画を策定し、政府が助成したことに始まる。目標は、フィールドバスインタフェースの基本的な要求に基づいた、ビットシリアルフィールドバスを実装しその使用を広めることであった。この目的のため、各参加企業はファクトリオートメーションとプロセスオートメーション[1]に共通する技術的コンセプトのサポートに合意した[2]。まず複雑な通信プロトコル Profibus FMS (Field bus Message Specification) が策定された。そして1993年、より単純でより高速な PROFIBUS DP (Decentralized Peripherals) が FMS の後継として完成した。

使用法

PROFIBUS には2つのバリエーションがある。よく使われているのは DP で、PA の利用は少ない。

  • PROFIBUS DP (Decentralized Peripherals) は生産現場で集中制御装置がセンサ群やアクチュエータ群を操作・運用するのに使われる。多くの標準診断オプションがある。他にも(Profibus FMS と同様)制御装置同士を接続したネットワークでの通信でも使われる。転送レートは、ツイストペアケーブル光ファイバーを使って最大12Mbit/sが可能である。
  • PROFIBUS PA (Process Automation) はプロセス制御システムの測定装置の監視に使われる。防爆エリア(Ex-zone 0 および 1)での使用に最適である。バスの導線上には弱い電流しか流れないため、誤動作が起こっても爆発の誘引となるようなスパークを発生しない。ただし、そのためにデータ転送レートが低く、31.25kbit/s である。

PROFIBUS は組み立てラインのオートメーションにもプロセスオートメーションにも使われている。世界中で2000万台以上のPROFIBUS機器が使われている(2007年現在)。

テクノロジー

PROFIBUSプロトコル(OSI参照モデル
OSIレイヤー PROFIBUS
7 アプリケーション層 DPV0 DPV1 DPV2 マネジメント
6 プレゼンテーション層 --
5 セッション層
4 トランスポート層
3 ネットワーク層
2 データリンク層 FDL
1 物理層 EIA-485 MBP

アプリケーション層

様々なサービスレベルに対応したDPプロトコルが定義されている。

  • DP-V0 は、データと診断の周期的交換を行う。
  • DP-V1 は、周期的/非周期的データ交換と警報処理を行う。
  • DP-V2 は、等時間隔モードとデータ交換ブロードキャストが可能(スレーブ同士の通信)。

セキュリティ層(データリンク層)

セキュリティ層 FDL (Field bus Data Link) は、トークン・パッシングとマスタースレーブを組み合わせたような方式で働く。PROFIBUS DP では、制御装置やプロセス制御システムがマスターで、センサ群やアクチュエータ群がスレーブとなる。

メッセージにはいくつかの型があり、開始デリミタ (SD) で識別される。

データ無し: SD1 = 0x10

SD1 DA SA FC FCS ED

可変長データ: SD2 = 0x68

SD2 LE LEr SD2 DA SA FC DSAP SSAP PDU FCS ED

固定長データ: SD3 = 0xA2

SD3 DA SA FC PDU FCS ED

トークン: SD4 = 0xDC

SD4 DA SA ED

肯定応答(ACK): SC = 0xE5

SC
SD: 開始デリミタ
LE: PDUの長さ(DA,SA,FC,DSAP,SSAPを含む)
LEr: PDUの反復(ハミング距離 = 4)
FC: 機能コード
DA: 送信先アドレス
SA: 発信元アドレス
DSAP: 送信先SAP
SSAP: 発信元SAP
SAP(十進) サービス
デフォルト 0 Cyclical Data Exchange (Write_Read_Data)
54 Master-to-Master SAP (M-M Communication)
55 Change Station Address (Set_Slave_Add)
56 Read Inputs (Rd_Inp)
57 Read Outputs (Rd_Outp)
58 Control Commands to a DP Slave (Global_Control)
59 Read Configuration Data (Get_Cfg)
60 Read Diagnostic Data (Slave_Diagnosis)
61 Send Parameterization Data (Set_Prm)
62 Check Configuration Data (Chk_Cfg)

注: SAP55 はオプションであり、アドレスを書き換えられない装置ではサポートしていない。

PDU: Protocol Data Unit(プロトコルデータ)
FCS: Frame Check Sequence
ED: 終了デリミタ (= 0x16 !)

FCSは単純に指定された長さにある各バイトを加算して計算される。オーバーフローは無視される。各バイトには偶パリティが付けられ、スタートビットとストップビット付きで非同期に転送される。メッセージ転送中は、あるバイトのストップビットと次のバイトのスタートビットの間は空けないことが多い。また、メッセージの前に33ビットぶんのSYNポーズ("1" がバスのアイドル状態)を置く。

ビット転送層(物理層)

ビット転送層には3種類の方式が指定されている。

EIA-485に準じた電気通信
波動インピーダンス150オームのツイストペアケーブルを使ったバス型のネットワーク。ビットレートは9.6kbit/sから12Mbit/s。ケーブル長は100mから1200m(転送レートによって異なる)で、それ以上はリピータを必要とする。この方式は PROFIBUS DP で主に使われている。
光ファイバーによる光通信
スター型、バス型、リング型のネットワークがある。リピータ間の距離は最大15km。リング型では多重化も可能。
MBP (Manchester Bus Powered)
データと電力を同じケーブルで供給する方式。防爆エリアでの電力使用を低減できる。バス型で最大1900mの長さであり、支線(最大60m)を出すことができる。ビットレートは31.25kbit/s固定。PROFIBUS PA を使ったプロセスオートメーション向けに開発された。

無線を使ったデータ転送を行う実装もなされているが、それらは標準に準拠したものではない。

標準化

PROFIBUS は1991年と1993年に DIN 19245 となり、1996年には EN 50170、1999年には IEC 61158/IEC 61784 となった。

関連団体

PROFIBUS Nutzerorganisation e.V. (PROFIBUS User Organization, PNO) は1989年に設立された。ドイツの製造業者とユーザーで構成される団体である。1992年、ドイツ以外で最初の団体が創設された(スイス)。翌年以降、続々と各国にPROFIBUSとPROFINETに関する団体が創設されていった。現在では25カ国にそのような業界団体がある。1995年、それら団体の上位団体として PROFIBUS & PROFINET Internationalドイツ語版 (PI) が創設された。

  1. ^ 英語版原文は「production (i.e. discrete or factory automation) and process automation」とあり、個々の機器内の自動化(のための機器内の通信)と、機器間の通信により工場などのプロセス全体の自動化、の両方という意図と思われる。
  2. ^ 英語版原文は「agreed to support a common technical concept for ...」

関連項目

外部リンク


「Process Field Bus」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Process Field Bus」の関連用語

Process Field Busのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Process Field Busのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのProfibus (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS