NMRシフト試薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 08:02 UTC 版)
「Eu(fod)3」の記事における「NMRシフト試薬」の解説
Eu(fod)3の当初の利用は、NMR分光法においてジアステレオマー化合物の分析に対するものだった。常磁性NMR分光法(英語版)において典型的なことだが、常磁性化合物は分子 中のルイス塩基が結合する部位の近くのプロトンにおいて追加の化学シフトを誘導する。この変化によって、通常では化学シフトが似通っているが、ルイス塩基部位とは近くないプロトンとシグナルが分離することで解析が容易となる。試薬の常磁性は核のスピン-格子緩和(縦緩和)時間を短縮し、線幅の拡がりと分解能の低下の原因となるため、ごく少量のシフト試薬が使用される。より高い磁場を持つ分光計が利用可能となることで、NMRシフト試薬に対する必要性が低下してきた。 最初のシフト試薬はHinckleyによって開発されたEu(DPM)3であった。その構造はEu(fod)3と似ているが、ヘプタフルオトプロピル基の代わりにtert-ブチル基を持つ。すなわち、DPM−はジピバロイルメタン(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン)から誘導される共役塩基である。配位子fod−はより親油性であり、ペルフルオロアルキル基のおかげで、その錯体はDPM−錯体よりもルイス酸性が高い。
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