NMRスペクトルにおける反芳香族性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/31 03:26 UTC 版)
「反芳香族性」の記事における「NMRスペクトルにおける反芳香族性」の解説
反芳香族化合物における電子の非局在化に由来する常磁性環電流は核磁気共鳴 (NMR) によって観測することができる。この環電流により環の内側の核は反遮蔽(低磁場シフト)、環の外側の核は遮蔽(高磁場シフト)される。シクロドデカヘキサエン([12]アヌレン)は環の内側と外側の両方にプロトンを持つのに十分な程大きい反芳香族炭化水素である。非芳香族アルケンのプロトンの化学シフトが通常4.5-6.5 ppmなのと比較して、[12]アヌレンの環の内側のプロトンの化学シフトは5.91 ppm、外側のプロトンの化学シフトは7.86 ppmである。この効果は対応する芳香族化合物のシフトよりも低い度合いである。 多くの芳香族および反芳香族化合物(ベンゼンやシクロブタジエン)は分子が小さく環の内側にプロトンを持てないため、化合物が芳香族か反芳香族か非芳香族かを決定するのに有用な内側のプロトンの遮蔽効果や反遮蔽効果を観測できない。核非依存的化学シフト(NICS)解析は、芳香族あるいは反芳香族性を予測するために環系の中心での遮蔽(あるいは反遮蔽)を計算する手法である。負のNICS値は芳香族性を、正のNICS値は反芳香族性を示す。
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