NADP-ME型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 05:38 UTC 版)
トウモロコシ、サトウキビ、ソルガム、ススキなどがこのタイプに含まれる。NADP-ME型はまず葉肉細胞の細胞質基質で、取り込んだCO2を水和させHCO3-にし、それをPEPとPEPカルボキシラーゼ(PEPC)を用いてオキサロ酢酸にする。オキサロ酢酸は葉緑体に取り込まれ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)の働きによって直ちにリンゴ酸(炭素数4)に還元される。この還元力にはNADPHが利用される。リンゴ酸は葉緑体から細胞質基質へ放出され、濃度勾配に従って原形質連絡を経由し、維管束鞘細胞へと移動する。維管束鞘細胞でリンゴ酸は葉緑体に取り込まれる。リンゴ酸はNADP+と反応してピルビン酸(炭素数3)となり、同時にNADPHとCO2が生成される。この脱炭酸の際に働く酵素がNADP-リンゴ酸酵素 (NADP-ME) である。ここで生成されたCO2はカルビン - ベンソン回路に入る。また、ピルビン酸は維管束鞘細胞の細胞質基質へ放出され、濃度勾配に従って原形質連絡を経由して葉肉細胞へと移行し、ここで葉緑体へ取り込まれる。取り込まれたピルビン酸は、ATPのエネルギーを用いて再びPEPとなる。ピルビン酸をPEPにする際にATPが利用されるが、この反応を触媒する酵素をピルビン酸‐リン酸ジキナーゼ (PPDK) という。PPDKはピルビン酸と無機リン酸をATPのエネルギーを使ってPEPとピロリン酸に変え、ATPは高エネルギーリン酸結合を2個失いAMPとなる。このAMPをATPに戻すために2分子のATPが用いられる。したがって、NADP-ME型では1分子のCO2濃縮に2分子のATPが必要である。
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