JP1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/08 01:01 UTC 版)
| 開発元 | 日立製作所 |
|---|---|
| 初版 | 1994年[1] |
| 最新版 |
13[2] / 2023年6月29日
|
| 対応OS | UNIX、Linux、Microsoft Windows |
| 対応言語 | 日本語、英語 |
| 種別 | 統合システム運用管理 |
| ライセンス | プロプライエタリ |
| 公式サイト | https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/jp1/ |
JP1は、日立製作所が開発・発売している日立オープンミドルウェアシリーズのひとつで、1994年に最初のバージョンが提供された統合システム運用管理ソフトウェアの製品群である[3][1]。業務の自動実行、システムの稼働状況の可視化、IT資産の管理、バックアップ、通報などの機能を用途別の製品として提供し、これらを組み合わせて利用する構成をとる[3][4]。運用管理ツールとしての日本国内シェアは、テクノ・システム・リサーチの調査によれば2022年度で約26.1%であり、国内売上シェア1位とされる[5][1]。また、2021年からはSaaS型で利用可能なJP1 Cloud Serviceも提供している[6]。さらに、2024年からは生成AIとの連携機能も提供している[7][8]。
概要
統合システム運用管理は、業務の自動実行、稼働性能の管理、IT資産の管理、セキュリティ管理などを一つの体系で扱う分野であり、JP1はこれらの用途ごとに分かれた製品群として提供される[9][4]。統合管理製品「JP1/Integrated Management 3」を中心に組み合わせることで、複数のシステムを横断した運用管理が行える[4][2]。対象とする環境は、オンプレミス、各種のクラウドサービス、およびそれらが混在する構成である[3]。
提供形態は、利用者の環境に導入するパッケージ製品と、日立製作所がSaaSとして提供する「JP1 Cloud Service」の2通りがある。SaaS型では、運用統合、ジョブ管理、ジョブ分析、システム管理、オブザーバビリティ、通報管理、エンドポイント管理の各サービスが用意されている[3]。
日本国内の運用管理ソフトウェア市場では、2010年時点で国内シェア首位の製品として報じられ[10]、2015年の報道でも運用管理ツールで国内首位のシェアを持つ製品とされている[1]。海外について日立製作所は、アジア地域では2000年から本格的に展開しており、日系企業の海外展開に合わせて現地での販売とサポートを進めてきたとしている[11]。
歴史
JP1は1994年にジョブ管理ツール「JP1 V1」として登場し、2000年代前半には電子商取引への対応を掲げた「V7i」、内部統制への対応を掲げた「V8」が提供された。2014年に発売から20年を迎えている[1][12]。
2010年代前半には、仮想化やプライベートクラウドへの対応が進められた。2010年6月に販売が始まった「JP1 Version 9.1」では、異なる仮想化機構が混在する環境の一元管理や、利用部門への運用業務の移譲を想定した機能が加えられた[13]。2012年10月に発表された「JP1 Version 10」では、運用手順を自動実行する新製品「JP1/Automatic Operation」がラインアップに加わり[14]、2013年9月の「Version 10.1」では運用プロセス間の連携と自動実行の範囲が広げられた[15]。
2016年1月に販売が始まった「JP1 Version 11」では、運用自動化機能の強化とパブリッククラウドへの対応が図られ、一部機能のSaaS型提供も始まった[16]。2017年11月には「Version 11.5」が販売され、ジョブ管理製品などの機能強化とあわせて、機械学習の活用を検証するための支援サービスが加わった[17]。2019年1月に発表された「JP1 Version 12」では、運用データの収集機能やRPA製品との連携が追加された[18]。2021年1月には「Version 12.5」の販売が始まり、システムの状況に応じて対処手順を提示する機能などが加えられた。あわせて、一部機能をSaaSで提供する「JP1 Cloud Service」を同年3月31日から販売する予定が示された[6]。2022年1月31日には「Version 12.6」の提供が始まり、複数のシステムの運用を統合するSaaS型プラットフォーム「JP1 Cloud Service/Operations Integration」(Ops I)が同年3月31日から販売された[19]。
2023年6月29日、日立製作所は「JP1 Version 13」を同月30日から販売すると発表した。ITシステム全体の健全性を可視化するオブザーバビリティ(システムの状態を観察・把握する能力とそのための取り組み。日本語では可観測性)の機能を強化し、基幹システムからクラウドネイティブな構成までの稼働にかかわる情報を収集して、業務サービスへの影響を一覧できるダッシュボードを提供するとしている。「JP1 Cloud Service」の最新版は同年9月29日から販売された[2]。2024年4月には、「JP1 Cloud Service」において生成AIを用い、運用オペレーターによるアラート対応の初動を支援する機能が加えられた[7][8]。2025年10月には「JP1 Version 13(13-50)」と「JP1 Cloud Service」の最新版が提供された[20]。
2026年7月には、日本アイ・ビー・エムがIBMのオブザーバビリティ製品「IBM Instana Observability」を日立製作所へOEM提供し、JP1の機能として統合することが発表された[21]。
製品構成
JP1は用途別の製品で構成される。日立製作所の製品・サービス一覧では、2026年9月時点のパッケージ製品に次の機能区分が示されている[3][4]。
- 統合管理
- JP1/Integrated Management 3(JP1/IM3)。ITシステム全体の健全性を可視化し、各種の運用ツールが発する状態変化のメッセージ、稼働性能、構成情報などを関連づけて扱う[2]。
- パフォーマンス管理・稼働性能管理
- JP1/Performance Management(JP1/PFM)。
- ネットワーク管理
- JP1/Network Node Manager i(JP1/NNMi)、JP1/SNMP System Observer。
- インフラストラクチャ管理
- JP1/Operations Analytics。
- ITサービス管理
- JP1/Service Support。
- ジョブ管理
- JP1/Automatic Job Management System 3(JP1/AJS3)。業務の自動実行を担う[2][17]。
- クライアント業務自動化
- JP1/Client Process Automation。
- 運用自動化
- JP1/Automatic Operation(JP1/AO)。
- 運用ナビゲーション
- JP1/Navigation Platform。
- 高速大容量ファイル転送
- JP1/Data Highway(JP1/DH)。
- バックアップ管理
- JP1/NetBackup。
- IT資産・配布管理
- JP1/IT Desktop Management 2(JP1/ITDM2)。PCやサーバー、スマートデバイスのIT資産情報やセキュリティ対策状況を一元的に管理する[22]。
- セキュリティ管理・情報漏えい防止
- JP1/秘文。データの暗号化やデバイスの利用制御などを行う[23]。
- 通報管理
- JP1/TELstaff AE Professional Edition(JP1/TELstaff)。検知した事象を電話、電子メール、表示灯、館内放送などの手段で担当者に通知する[24]。
SaaS型の「JP1 Cloud Service」は、運用統合の「Operations Integration」、ジョブ管理の「Job Management」、ジョブ分析の「Job Analysis」、システム管理の「System Management」、オブザーバビリティの「Observability」、通報管理の「Notification Management」、エンドポイント管理の「Endpoint Management」の各サービスからなる[3][2]。
開発・販売体制
JP1の開発元および販売元は日立製作所である[3]。日立ソリューションズは、JP1には販売やコンサルテーション、提案、設計、構築、運用のサービスを提供する販売パートナー、同様のサービスを提供するテクニカルパートナー、連携できる製品を提供する連携パートナーの区分があると説明している[12]。
日立ソリューションズは、JP1の初期バージョンが登場した1994年から日立製作所の製品開発に参画してきたとしており、あわせて販売パートナー、テクニカルパートナー、連携パートナーとして顧客業務への適用を支援してきたと説明している[12]。同社は、JP1製品を基軸として顧客の要件に合わせて構成したITシステムやサービスの総称を「JP1ソリューション」と呼び、導入・運用・移行・連携の4分野にメニューを整理している[20][25]。同社の公表によれば、日本国内および海外で手がけたJP1システムの導入実績は1,000社以上で、社内のJP1認定資格保有者は延べ5,507名(2025年6月現在)である[20][12]。また、導入前の検証やメニュー開発を行う自社の「JP1評価センタ」を設けているとしている[12]。
「JP1ソリューション」のメニューは随時見直されており、2010年12月に体系が改められ[25]、2012年12月には分散処理基盤Apache Hadoopと連携するメニューなどが追加された[26]。2014年10月にはスマートデバイスの運用管理に対応するメニューが発表され、同年12月に提供が始まった[22]。2018年4月にはアプリケーションの稼働状況を監視する他社製品「AppDynamics」とJP1/IMを連携させる製品が提供された[27]。
通報の分野では、日立ソリューションズが統合通報管理システム「TELstaff」を自社の商品として提供しており[28]、JP1のラインアップにも通報管理製品「JP1/TELstaff AE Professional Edition」がある[24][29]。
このほか、日立システムアンドサービス(現・日立ソリューションズ)は、2010年5月にPCの運用管理製品と導入作業を組み合わせた「JP1/Desktop Navigationソリューションパック」の販売を開始している[30]。
関連項目
- ミドルウェア
- オブザーバビリティ
- 日立オープンミドルウェア
- Cosminexus:クラウドサービスプラットフォーム
- uCosminexus OpenTP1:分散トランザクションマネージャ
- HiRDB:ノンストップデータベース
- COBOL2002:アプリケーション開発環境/運用環境
- Groupmax:グループウェア
- EUR:帳票ツール
- uCosminexus DocumentBroker:文書管理基盤
脚注
- 1 2 3 4 5 “5年後、「JP1」は“サービス”になっている”. ITmedia. アイティメディア (2015年1月28日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “オブザーバビリティなどクラウドネイティブ対応を強化した「JP1」と「JP1 Cloud Service」の最新版を販売開始”. 日立製作所 (2023年6月29日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 “統合システム運用管理JP1”. 日立製作所. 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 “製品&サービス:統合システム運用管理JP1”. 日立製作所. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ テクノ・システム・リサーチ(2023年8月)
- 1 2 “日立、「JP1」新バージョンを発表 SaaS型も提供予定”. ITmedia. アイティメディア (2021年1月22日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “統合システム運用管理「JP1 Cloud Service」において、生成AIを活用し運用オペレーターによるアラート対応の初動を迅速化”. 日立製作所 (2024年4月24日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “JP1は生成AIでシステム運用管理をどう変えるつもりか 開発担当者に聞くこれからのITインフラ運用の姿”. ITmedia. アイティメディア (2024年6月3日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “JP1とは”. 日立ソリューションズ. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “JP1、アジアでの10年、そしてこれから”. ITmedia. アイティメディア (2010年10月15日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “JP1と日立ソリューションズ”. 日立ソリューションズ. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立、JP1 V9.1発表――プライベートクラウド対応、組織の“風通し”を改善する新製品も”. ITmedia. アイティメディア (2010年6月28日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立、統合運用管理ソフト「JP1 V10」を発表 運用自動化やMDM対応を強化”. ITmedia. アイティメディア (2012年10月15日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立、統合運用管理ソフト「JP1 V10.1」を提供 自動化機能を大幅強化”. ITmedia. アイティメディア (2013年9月26日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立がJP1の最新版を発売。SaaS版の提供やパブリッククラウド対応強化も”. @IT. アイティメディア (2016年1月12日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “JP1の最新バージョン「V11.5」登場 機械学習のPoC支援サービスも”. ITmedia. アイティメディア (2017年10月31日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立、RPAにも対応した統合管理ソフトJP1の新バージョン「JP1 Version 12」を発表”. ITmedia. アイティメディア (2019年1月22日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “システム運用業務だけがサイロのまま非効率なのはなぜ? 日立の見立てと解決策”. ITmedia. アイティメディア (2022年2月1日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 3 “JP1ソリューション”. 日立ソリューションズ. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “日立「JP1」がIBMの技術を統合 アラートに追われる運用現場をどう変えるのか”. @IT. アイティメディア (2026年8月20日). 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “統合システム運用管理「JP1」の活用を支援する「JP1ソリューション」のラインアップを拡充「JP1スマートデバイス運用管理ソリューション」により効率的な資産運用管理を実現”. 日立ソリューションズ (2014年10月7日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “セキュリティ管理・情報漏えい防止JP1/秘文”. 日立製作所. 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “通報管理JP1/TELstaff AE Professional Edition”. 日立製作所. 2026年9月8日閲覧。
- 1 2 “日立ソリューションズが「JP1ソリューション」のメニュー体系を一新 統合システム運用管理の更なる効率化を実現するソリューションを追加”. 日立ソリューションズ (2010年12月2日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “統合システム運用管理「JP1」の活用を支援する「JP1ソリューション」のラインアップを拡充”. 日立ソリューションズ (2012年12月13日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “アプリケーション・パフォーマンス監視製品「AppDynamics」とシステムの統合管理製品「JP1/IM」を連携する製品を提供開始”. 日立ソリューションズ (2018年4月25日). 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “統合通報管理システム TELstaff”. 日立ソリューションズ. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “JP1/TELstaff AE Professional Edition”. 日立ソリューションズ. 2026年9月8日閲覧。
- ↑ “「JP1/Desktop Navigationソリューションパック」の販売を開始”. 日立ソリューションズ (2010年5月31日). 2026年9月8日閲覧。
外部リンク
JP-1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:17 UTC 版)
1944年に制定された米軍の灯油系ジェット燃料である。英国のジェット燃料をもとに開発されたが析出点は-40°Fから-67 °F、引火点は100°Fから110 °Fと要件はより厳しく設定されたが、原油から精製できるのはわずか3%という入手性が問題となった。現在は使用されていない。
※この「JP-1」の解説は、「ジェット燃料」の解説の一部です。
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