H定理とは? わかりやすく解説

H定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/07 16:21 UTC 版)

ボルツマン方程式」の記事における「H定理」の解説

詳細は「H定理」を参照 孤立した粒子系を考え時間関数 H(t) を H ( t ) ≡ ∬ f ln( f ) d v d r {\displaystyle H(t)\equiv \iint f\ln(f)\,\mathrm {d} {\boldsymbol {v}}\,\mathrm {d} {\boldsymbol {r}}} で定義する。ただし、積分速度に関して全速度、空間座標に関して粒子系が占める全領域わたって行う。すると上記ボルツマン方程式両辺ln f乗じて v', r について積分し、変形することにより d H d t = − 1 4 ⨌ ( ln ⁡ ( f ′ f 1 ′ ) − ln ⁡ ( f f 1 ) ) ( f ′ f 1 ′ − f f 1 ) g d Ω d v d v 1 d r {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} H}{\mathrm {d} t}}=-{\frac {1}{4}}\iiiint (\ln(f'f_{1}')-\ln(ff_{1}))(f'f_{1}'-ff_{1})g\,\mathrm {d} \Omega \,\mathrm {d} \mathbf {v} \,\mathrm {d} \mathbf {v_{1}} \,\mathrm {d} \mathbf {r} } が得られる。ここで被積分関数は (ln x − ln y)(x − y) の形をしていて常に正または0であるから d H d t ≤ 0 {\displaystyle {\frac {\mathrm {d} H}{\mathrm {d} t}}\leq 0} が結論される。これがボルツマンのH定理である。そして H はこの粒子系のエントロピー S と S = − kH と関係付けられるから(k はボルツマン定数)、これは粒子系のエントロピー時間とともに増大する一定値にとどまるだけで、減少することはないことを意味する。そしてさらに、それが一定値にとどまるためには全領域で f' f'1 = f f1 が成立することが必要となる。そのとき f はマクスウェル分布であることが示される。 なお、孤立系でなくても粒子空間分布一様な場合は r の積分任意の有限領域限定することにより、dH/dt に対し上記と同じ形の式が導かれ、同じ結論得られる。しかし、空間的に一様な分布場合には余分な項が生じ上の議論成り立たない。これはその領域隣接領域との間にエントロピーやり取り生ずるので、エントロピーの非減少保証されないことを意味する。 H定理はボルツマン時代から力学可逆性との関係活発な議論巻き起こし、それがこの定理物理的内容理解深めた。またその概念その後ボルツマン方程式離れて広く論じられた。

※この「H定理」の解説は、「ボルツマン方程式」の解説の一部です。
「H定理」を含む「ボルツマン方程式」の記事については、「ボルツマン方程式」の概要を参照ください。

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