ボルツマンの衝突項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/09 19:28 UTC 版)
「運動論的方程式」の記事における「ボルツマンの衝突項」の解説
粒子密度が小さければ、粒子間の相互作用は2体間の衝突だけが効くと考えられる。こうした2体衝突の効果を出来るだけ精確に取り入れたものがボルツマンの衝突項であり、それを右辺に持つ次の方程式がボルツマン方程式である。 ∂ f ∂ t + v ⋅ ∂ f ∂ x + F m ⋅ ∂ f ∂ v = ∬ ( f ′ f 1 ′ − f f 1 ) g d Ω d v 1 {\displaystyle {\frac {\partial f}{\partial t}}+{\boldsymbol {v}}\cdot {\frac {\partial f}{\partial {\boldsymbol {x}}}}+{\frac {\boldsymbol {F}}{m}}\cdot {\frac {\partial f}{\partial {\boldsymbol {v}}}}=\iint (f'f_{1}'-ff_{1})g\mathrm {d} \Omega \mathrm {d} {\boldsymbol {v_{1}}}} ただし、ここでは 速度がそれぞれ v, v1 である2粒子が衝突してそれぞれ v′, v′1 になったとし、 f ≡ f ( v , r , t ) , f 1 ≡ f ( v 1 , r , t ) , f ′ ≡ f ( v ′ , r , t ) , f 1 ′ ≡ f ( v 1 ′ , r , t ) {\displaystyle f\equiv f({\boldsymbol {v}},{\boldsymbol {r}},t),f_{1}\equiv f({\boldsymbol {v}}_{1},{\boldsymbol {r}},t),f'\equiv f({\boldsymbol {v}}',{\boldsymbol {r}},t),f_{1}'\equiv f({\boldsymbol {v}}_{1}',{\boldsymbol {r}},t)} と略記してある。また g は衝突する2個の粒子の相対速度 g = v1 − v の大きさで、dΩ は衝突の微分断面積を表していて、2粒子間にはたらく力と相対位置を決めれば定まる量である。 ボルツマン方程式は1872年にボルツマンによって導入され、彼のH定理の証明に用いられた。またこの方程式は気体の輸送現象などを扱う気体分子運動論の基礎方程式として極めて重要である。
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