運動論モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:31 UTC 版)
「プラズマのモデリング」の記事における「運動論モデル」の解説
運動論モデルは、プラズマを記述する最も基礎的な方法であり、粒子の位置 x → {\displaystyle {\vec {x}}} と速度 v → {\displaystyle {\vec {v}}} の6次元位相空間 ( x → , v → ) {\displaystyle ({\vec {x}},{\vec {v}})} における 分布関数 f ( x → , v → , t ) {\displaystyle f({\vec {x}},{\vec {v}},t)} でプラズマを記述する。ここで、位置 x → {\displaystyle {\vec {x}}} と速度 v → {\displaystyle {\vec {v}}} は独立変数である。分布関数の支配方程式として、次のいずれかが解かれる。 ボルツマン方程式 粒子間相互作用を2体衝突で近似した衝突項 (ボルツマンの衝突項) が置かれる。衝突項には複雑な多重積分が含まれており、近似された衝突モデルかモンテカルロ法が使用される。長距離にまで影響が及ぶクーロン相互作用を衝突項で考慮すると、厳密には不正確となる。そこで、荷電粒子間の相互作用や多体衝突効果を正確に考慮する場合は、集団運動が作る電磁場の作用として扱う。 ブラゾフ方程式 ボルツマン方程式において衝突項を0と置いた式である。近距離の粒子間相互作用の影響が小さい系に対して適しており、天体物理学等の分野ではよく使用される。 フォッカー・プランク方程式 衝突による小角散乱をマルコフ過程で扱った衝突項 (フォッカー・プランクの衝突項) が置かれる。この衝突項は輸送現象や緩和現象の扱いに適している。 分布関数より得られる電荷と電流は、マクスウェル方程式を介して電磁場をセルフコンシスタントに定める。 数値シミュレーションを実施する上では、分布関数を6次元位相空間で離散化する必要がある。この離散化には粒子的な手法または連続体的な手法が使用される。プラズマ解析に使用される代表的な粒子法にはPIC-MCC法がある。
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