ド・モアブルの定理とは? わかりやすく解説

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ド・モアブルの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 15:43 UTC 版)

ド・モアブルの定理(ド・モアブルのていり、: de Moivre's theoremド・モアブルの公式〈ド・モアブルのこうしき〉ともいう)とは、複素数(特に実数θ および整数 n に対して

が成り立つという、複素数三角関数に関する定理である。定理の名称はアブラーム・ド・モアブル (Abraham de Moivre) に因むが、彼がこの定理について言及したわけではない[1]。数学的帰納法による証明では、三角関数加法定理が利用される。

実数 θ と正の整数 n に対してド・モアブルの定理を考えると、左辺を展開し右辺と実部・虚部を比較することにより、n倍角の公式が導出される。すなわち、ド・モアブルの公式は三角関数の n倍角の公式を内在的に含んでいる。

オイラーの公式 より、ド・モアブルの定理は複素指数函数についての指数法則の一つ:

が成り立つことを意味している。

証明

数学的帰納法による証明

複素数の積の性質による証明

オイラーの公式による証明

指数が非整数の場合

ド・モアブルの定理は指数が非整数のとき一般には成り立たない。それは、複素数の非整数乗は複数の異なる値を取る(多価関数)からである(冪乗#指数・対数法則の不成立参照)。n が整数でないとき、ド・モアブルの定理における n 乗の式は、等式が成立する値を含めた複数の値を取ることとなる。

θ を実数、w を複素数とすると

n は整数)

である。したがって、w が整数であれば

という 1 つの値を取るが、w が整数でないときは を含む複数の値を取ることになる。

{exp()}w の値の取り方について、w が有理数であれば、w = a/b a, b は互いに素)と表すと、2nwπ = 2π × na/b であるから、n = 0, 1, …, b − 1 で循環し、b 個の値を取る。wQ(無理数または虚数)ならば循環せず、可算無限個の値を取る。

適用例

虚数単位の累乗
n を整数とすると、
n が非整数のときは、先述したように、複数取る値のうちの1つだけを求めている。
1の冪根
n を 2 以上の自然数とするとき、zn = 1 を満たす z を求める。
z の極形式を z = r(cos θ + i sin θ)r ≥ 0, θ は実数)とする。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 等式の整理に加法定理を利用した。
  2. ^ 等式の整理に三角関数の負角公式を利用した。
  3. ^ これは変数を実数と考えると、複素平面の単位円上、偏角 θ の複素数に偏角 φ の複素数を掛けると偏角が θ + φ になることを意味する。

出典

  1. ^ Lial, Margaret L.; Hornsby, John; Schneider, David I.; Callie J., Daniels (2008). College Algebra and Trigonometry (4th ed.). Boston: Pearson/Addison Wesley. p. 792. ISBN 9780321497444 
  2. ^ ド・モアブルの定理
  3. ^ 2013年度「代数学基礎」, pp.57–60
  4. ^ ド・モアブルの公式とオイラーの公式 - 九州工業大学工学部 教授 鎌田 裕之

外部リンク


ド・モアブルの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 13:52 UTC 版)

複素数」の記事における「ド・モアブルの定理」の解説

詳細は「ド・モアブルの定理」を参照 実数 θ, 整数 n に対して、 (cos θ + i sin θ)n = cos nθ + i sin nθ が成り立つ(ド・モアブルの定理)。オイラーの公式より (eiθ)n = einθ (exp iθ)n = exp inθ と表現するともできる。n が整数でないとき一般に成り立たない

※この「ド・モアブルの定理」の解説は、「複素数」の解説の一部です。
「ド・モアブルの定理」を含む「複素数」の記事については、「複素数」の概要を参照ください。

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