指数が非整数の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 09:35 UTC 版)
「ド・モアブルの定理」の記事における「指数が非整数の場合」の解説
ド・モアブルの定理は指数が非整数のとき一般には成り立たない。それは、複素数の非整数乗は複数の異なる値を取る(多価関数)からである(冪乗#指数・対数法則の不成立参照)。n が整数でないとき、ド・モアブルの定理における n 乗の式は、等式が成立する値を含めた複数の値を取ることとなる。 θ を実数、w を複素数とすると { exp ( i θ ) } w = exp { w log exp ( i θ ) } = exp { w i ( θ + 2 n π ) } = exp ( i w θ ) exp ( 2 n π i w ) {\displaystyle \{\exp(i\theta )\}^{w}=\exp\{w\log \exp(i\theta )\}=\exp\{wi(\theta +2n\pi )\}=\exp(iw\theta )\exp(2n\pi iw)} (n は整数) である。したがって、w が整数であれば { exp ( i θ ) } w = exp ( i w θ ) ⋅ 1 = cos ( w θ ) + i sin ( w θ ) {\displaystyle \{\exp(i\theta )\}^{w}=\exp(iw\theta )\cdot 1=\cos(w\theta )+i\sin(w\theta )} という 1 つの値を取るが、w が整数でないときは cos ( w θ ) + i sin ( w θ ) {\displaystyle \cos(w\theta )+i\sin(w\theta )} を含む複数の値を取ることになる。 {exp(iθ)}w の値の取り方について、w が有理数であれば、w = a/b (a, b は互いに素)と表すと、2nwπ = 2π × na/b であるから、n = 0, 1, …, b − 1 で循環し、b 個の値を取る。w ∉ Q(無理数または虚数)ならば循環せず、可算無限個の値を取る。
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