FireAlpacaとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > FireAlpacaの意味・解説 

FireAlpaca

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/12 03:43 UTC 版)

FireAlpaca
開発元 株式会社PGN
初版 2011年 (14年前) (2011)
最新版
Windows, macOS 2.13.20 / 2025年7月5日 (7日前) (2025-07-05)
Linux 2.13.19 / 2025年6月24日 (18日前) (2025-06-24)
対応OS Windows 10 以降
macOS (Mac OS X) 10.7 以降
Ubuntu 23.04 以降
Fedora 36 以降
Debian 12 以降
対応言語 日本語英語、他多数(世界10言語)
サポート状況 開発中
種別 フリー(無料)ペイントソフト
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト https://firealpaca.com/ja/
テンプレートを表示

FireAlpaca(ファイアアルパカ)とは、株式会社ピージーエヌ[1]が開発・提供を行うペイントソフトである[2]。広告の表示で開発費を賄うフリーソフトであるが、広告を排した有料版がSteamで販売されている。また、クラウド機能を搭載した姉妹ソフトの「MediBang Paint」も存在する。

歴史

イラスト制作ソフト「openCanvas」(ver1.1、2000年)や、そのOEM版である漫画制作ソフト「DELETER COMICWORKS」(2002年)などを開発した開発者(納豆のように粘り強く開発を続けるという意味で「nattou.org」を名乗っている)は、新たなお絵描きアプリ「mdiapp」を個人的に開発し、2008年11月よりシェアウェアとして販売を開始した。mdiappは漫画制作ソフトして、2011年6月にOEM版がデリーター社から「COMICWORKS NEO」としてパッケージ販売され、またPGN本体からも「コミラボ」としてダウンロード販売された。このmdiappのライブラリを使って新たに開発されたお絵描きアプリがFireAlpacaである。2011年11月に初版が公開[3]

FireAlpacaの開発にあたっては、これまで同氏の開発したソフトでは無かった「Macでも動くアプリを作る」というのが大きな目標であり、Qtを利用することでリリース当初からMac/Win両対応ソフトとしてリリースされた[4]。また、無料で提供するというのも当初からの方針であった。そのためマネタイズ方法として、広告収入を予定しており、初版のリリース当初から起動画面にそのためのスペースを用意していた。後に実際にスポンサーが付き、その目的は達せられた。

2014年11月、クラウド機能を強化したFireAlpacaのOEM版がMediBang(メディバン)社から「CloudAlpaca(クラウドアルパカ)」としてリリースされた(2015年6月より「MediBang Paint(メディバンペイント)」に改称)。

2016年5月よりソフトウェア販売プラットホームのSteamでも販売されている。Steam版の「FireAlpaca SE」は、歪みブラシやレイヤーマスクなど、若干高度な機能を持つ。

FireAlpacaは初版のリリース以来、細かいバージョンアップを重ね、2018年2月にver.2.0がリリース[5]。Windows版が64bit化された(Mac版は元から64bit)。

2023年11月、12周年に合わせてLinux版を公開[6]

FireAlpacaに開発リソースを集中

開発者が同じである「mdiapp」(およびそのOEM版の「コミラボ」)と同系統のインターフェイスを持っていた。「mdiapp」は、開発者の個人サイトである「nattou.org」がプロモーションの中心となり、ベクターなどのシェアウェア販売サイトにて販売されていた。一方「コミラボ」は、PGN公式の漫画制作ソフトとして、PGNの公式サイトである「portalgraphics.net」にて販売されていた。2017年11月にPGN公式サイトにおけるコミラボの販売が停止され、また同時にnattou.orgがシェアウェア販売サイトで販売していたmdiappの販売も停止され、「mdiapp」がPGN公式の漫画制作ソフトとなり、「mdiapp+ SE」の名称で、PGNをパブリッシャーとしてSteamで販売されることになった。

mdiappとFireAlpacaの開発は並行して行われており、mdiappはnattou.orgが個人として開発し、一方FireAlpacaはnattou.orgがPGN社員として開発していた。どちらもPGNによってSteamで販売されるようになったことにより、姉妹ソフトという位置づけになった。なおSteamではopenCanvasも販売されており、姉妹ソフトとして、FireAlpacaとのバンドル販売も行われている。openCanvasは、ver.2以降はnattou.orgとは別の開発者によって開発が引き継がれていたが、2017年9月リリースの「openCanvas 7」をもって開発を終了した。

新機能は、まずmdiappに実装され、その後でFireAlpacaにフィードバックされる傾向があったが、mdiappは売れ行きが悪かったため、2024年2月をもって開発を停止し、以後はFireAlpacaに開発リソースを集中するとの宣言がnattou.orgによってなされた[7]。2024年にはopenCanvasの展開もほぼ終息し、PGNにおけるペイントツールの開発はFireAlpacaに一本化された。

mdiappの開発が終了した時点で、漫画制作ソフトとしての機能はmdiapp(または「MediBang Paint」)の方が上だったため、複数ページを扱う「プロジェクト機能」など、mdiappの固有の機能をFireAlpacaに移植する作業を進めると同時に、CLIP STUDIO PAINTを仮想敵として、新ブラシエンジン、新フィルタシステムなどを搭載した「FireAlpaca 3.0」の開発が進められた。

FireAlpaca 3.0

2025年4月、HUION秋葉原店にて開発版の体験イベントが行われた[8]

2025年春に公開予定。マルチスレッド処理の強化により、とても早くなる予定。

特徴

FireAlpacaはシンプルな機能と操作性で、初心者でも扱いやすいソフト[2][9]として広く提供されている。省メモリで動作が軽いのも特徴としている。世界の10言語に対応し、高頻度のバージョンアップにより機能の改善や向上が図られている。起動時に1度だけスポンサーのバナー広告が表示されるかわりに、全機能が無料で提供されている。2025年6月現在、全世界で2100万回以上ダウンロードされている[9]

同じく無料で使用できるMediBang Paint Proは、本ソフトを基に開発されている。そのため、機能や操作に共通点が多く、MediBang Paint Proのリリース当初のソフト名はCloudAlpacaで、アイコンも本ソフトと共通のアルパカのキャラクターだった[10]。その後は、それぞれが独立してアップデートが行われており、本ソフトのみが備える機能が複数追加されている。大きな違いとして、MediBang Paintはクラウド機能の搭載により、原稿をクラウドに保存してチームで共同制作できたり、フォントやスクリーントーンなどの素材をクラウドから追加できるなど、より漫画制作に適している。

FireAlpacaはフリーのソフトウェアでありながら、2011年のリリース以来、長期にわたり機能追加や不具合のアップデートが行われているのも特徴である(同時期に人気があったグラフィックソフトは、無料か有料かに関わらず、2010年代後半までに開発がほとんどストップしたものも多い)。たとえば2022年は21回のアップデートが行われた。

主な機能

ソフトの主な機能は以下の通り[11]

  • ブラシ
  • バケツ
  • グラデーション
  • レイヤーディレクトリ
  • レベル補正
  • 色相補正
  • 反転・拡張・収縮・変形
  • アンシャープマスキング
  • ガウスぼかし
  • 色選択(色相環、色相バー)
  • ブレンド
  • 自動保存機能
  • 世界10言語対応
  • スナップ機能
  • 3Dパース
  • 漫画原稿テンプレート
  • フィルタ(雲模様、砂模様、和柄)
  • 40段階手ブレ補正
  • タイムラプス
  • アニメーション
  • グラデーションマップ
  • psd (Photoshop) 形式の読み込み、書き出し

有料版

有料版のFireAlpaca SEもリリースされており、以下の機能が追加されている。Steamで販売されており、買い切りで利用可能[12]

  • ユーザーインターフェイスにダークモードが追加
  • レイヤーをブラシ操作で部分的に歪ませる「歪みツール」
  • レイヤーの一部を隠せる「レイヤーマスク」
  • ブラシストアから有料版専用
  • 起動時の広告表示なし

スポンサー企業

FireAlpacaは、スポンサー協賛した企業の広告を、ツール起動時に表示されるソフトウェア広告とWebバナー広告に掲載し、その広告費によって運営されている[9]

2023年現在、5つのスポンサーが存在する[13]

  • 日本工学院専門学校
  • 日本マンガ塾
  • 工房ヒョウガ
  • 同人誌印刷|PICO(プリンティングイン株式会社)
  • portalgraphics.net(ポータルグラフィックス、開発元のピージーエヌが運営)

関連書籍

  • 『はじめよう! 無料ペイントソフトFireAlpaca スタートBOOK』(FireAlpaca開発チーム/監修、玄光社、2012年11月29日発売)ISBN 978-4-7683-0413-6
  • 『線画/塗り/ブラシをばっちり解説 ペイントツールFireAlpaca公式ガイド』(アスキー書籍編集部/編、FireAlpaca.com/協力、角川書店アスキー・メディアワークス〉、2013年2月1日発売)ISBN 978-4-04-886958-4
  • 『東方絵技帖 ペイントツールFireAlpacaで描く東方イラストテクニック』(玄光社、2013年5月24日発売)ISBN 978-4-7683-0441-9
  • 『人気の「お絵かきソフト」使い方のコツ! FireAlpacaイラストテクニック講座』(サカクラ/著、I O編集部/編集、工学社、2014年2月28日発売)ISBN 978-4-7775-1819-7
  • 『WEB+DB PRESS plusシリーズ 2Dグラフィックスのしくみ 図解でよくわかる画像処理技術のセオリー』(FireAlpaca開発チーム/著、技術評論社、2015年8月18日発売)ISBN 978-4-7741-7558-4

関連項目

脚注

  1. ^ 株式会社ピージーエヌ”. PGN Inc.. 2020年9月21日閲覧。
  2. ^ a b FireAlpaca”. 窓の杜. インプレス. 2023年11月12日閲覧。
  3. ^ 高性能 無料ペイントツール FireAlpaca (Mac/Win両対応) - mdiapp開発報告所
  4. ^ Qtを使ってアプリを開発しました (Mac/Win両対応) - Qtプログラミング日記
  5. ^ フリーのペイントソフト「FireAlpaca」がv2.0.0に、64bit版をWindows向けに追加 - 窓の杜
  6. ^ FireAlpaca12周年 Linux版リリース&FireAlpaca SE 30%OFFセール開催 – 株式会社ピージーエヌ
  7. ^ mdiapp+ の開発に関するお知らせ - mdiapp+開発日記
  8. ^ FireAlpaca SE 3.0 最速体験イベントをHUION秋葉原店にて開催! – 株式会社ピージーエヌ
  9. ^ a b c FireAlpaca”. PGN Inc.. 2020年9月21日閲覧。
  10. ^ CloudAlpaca”. 2023年11月12日閲覧。
  11. ^ ソフトの機能参照。
  12. ^ FireAlpaca SE”. 2023年11月12日閲覧。
  13. ^ FireAlpaca スポンサー”. 2023年11月12日閲覧。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「FireAlpaca」の関連用語

FireAlpacaのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



FireAlpacaのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのFireAlpaca (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS