ESOPに関する会計処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 00:50 UTC 版)
「ESOP」の記事における「ESOPに関する会計処理」の解説
米国におけるESOPに関する会計処理は明確である。 既に分配された個人勘定にある株式については、個人の年金資産であり、会社財産とは関係がない。(オフバランス) 未分配の仮勘定にある株式については、将来の会社の利益分配にあたることから、利益準備金勘定から償却勘定として控除される。 ESOP信託における借入金は、その返済原資が会社の将来の支出によることから、会社の負債として認識される。 レバレッジドESOPにおいて、ESOP信託が取得した時点での株式金額と、個人勘定に分配される時点での株式金額が、評価上異なることとなるが、会社の損益に影響を及ぼすわけではないので、分配される利益勘定の調整(資本取引)によって実際の分配額との差額の反映が行われることとなる。 日本におけるESOPの会計処理については、確定的なものは示されていないが、現状採用されているESOPスキームは米国と異なり負債を用いないため、より簡略な会計処理が可能と考えられる。例えば、米国ESOPと異なり、個人勘定と仮勘定が明確に分離されていないが、従業員個人への分配株式数が制度上確定した時点で、会社の勘定から切り離すことが可能であろう。また、米国会計ではESOP独特の償却勘定が用意されているが、日本ではこのような会計科目が存在しないため、純資産からの控除は困難なことから、ESOP信託に対する企業拠出が行われた時点で、将来給付資産の取得として資産計上し、従業員個人への分配分を時点償却する方法があり得るものとされる。一方で、純資産からの控除項目が他にないため、自己株式勘定を流用する方法もあり得るが、実際の自己株式との区別がつかないこととなり、実態が不明確になるため好ましい方法とは思われない。各方面からの指摘のとおり、明確な会計ルールの策定が待たれるところである。
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