ADSを活用した社会学研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 14:00 UTC 版)
「天体物理データシステム」の記事における「ADSを活用した社会学研究」の解説
ADSは、ほぼ全世界で天文学者に利用されているため、天文学の研究が世界でどのように広がっているかを明らかにする手段にもなる。大部分の利用者は、高等教育機関からシステムに接続しており、そのIPアドレスから利用者の地理的な属性を割り出すことが簡単にできる。研究によって、国民一人当たりで最も多くADSを利用しているのは、フランスとオランダの天文学者であり、先進国(一人当たりGDPが高い国)の方が開発途上国よりも多くシステムを利用していることが明らかになった。但し、一人当たりGDPとADSの使用量は、単純な一次関数的相関とはなっていない。一人当たりのADS使用量のばらつきは、一人当たりGDPのばらつきより大きく、ある国でどのくらい基礎研究が行なわれているかを、ADSの使用量を物差しとして測ると、GDPの2乗を人口で割った数値に比例することがわかっている。 ADSの利用統計は、先進国が開発途上国よりも、天文学者が輩出しやすい傾向にあることも示唆する。ある国の基礎研究の量は、天文学者の人数に、一人当たりGDPを掛けた数値に比例している。また、ヨーロッパ文化圏の天文学者が、アジア文化圏の天文学者のおよそ3倍の量の研究を行っていることも統計的に示され、これは、天文学がその文化の中でどの程度の重要性を持つかの違いによるものと推測される。 ADSは、1975年以降単著論文の数が大幅に減り、1990年以降は50人以上の共著からなる論文が珍しくなくなったことも、明らかにしている。
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