20世紀最長の皆既月食
20世紀最後で最長の皆既月食はたっぷり1時間47分
2000年7月16日の夜から17日の未明にかけて、1時間47分という長い時間、月が地球の影に完全に入って赤銅色に見える皆既月食が、日本全国で観測されました。月食というのは、太陽と地球と月とが一直線上に並んだときに、月が地球の影に入るために欠けて暗くなる現象で、満月のときに起こります。満月の月が地球の影の濃い部分を通ったとき、月は暗い赤銅色に変化するのが皆既月食です。この色の変化は、地球の大気によって屈折した光が影の部分にも回り込んでいるからであり、またその屈折する光のうち、大気の錯乱を受けない波長の長い光、つまり赤い色の光がより多く影の部分に回り込んでいるからと考えられています。
16日午後8時57分に南東の空にのぼった月が欠けはじめ、全体が暗くなる皆既月食の開始は、午後10時2分でした。皆既月食は午後11時49分に終わり、月食が終わったのは、17日の午前0時54分でした。皆既月食が1時間47分、月食全体が3時間57分というのはめったにない長いものです。
イメージ図。2000年7月16日から17日にかけて見られた月食の変化。
日本では141年ぶりの長い月食
今回の月食がとても長く続いたのには、2つの理由があります。地球の影は月の3倍近い大きさがありますが、月が影のわきをかすめて通るのではなく、影の中心近くを通過したことが1つです。もう1つは、だ円軌道の上を動く月が地球から遠い所を通過したので、地球を回るスピードが遅くなったためです。つまり、月が長い距離をかけて地球の影のほぼ中心をゆっくりと通った結果、最長レベルの月食が起きたのです。日本でこれほど長い皆既月食が見られたのは、なんと江戸時代の1859年以来、141年ぶりです。次に同じくらい長い月食がめぐってくるのは2123年ですが、日本は夜ではないので見ることはできません。
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