頭胸部直後の体節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 15:24 UTC 版)
頭胸部と腹部の間(post-cephalothorax)には、6対の羽毛状付属肢を備えたリング状の体節がある。付属肢数に応じて実際には6節だが、最終の2節は癒合したため外見上は5節に見える。両腹面から突出した羽毛状付属肢はほぼ同形で後方ほどわずかに短くなり、付け根には発達した関節と思われる大きな溝がある。単枝型の長い円錐状で数多くの環形の筋に分かれ、外縁に沿って40-50本ほどの長い葉状の構造体が並んで、それぞれの先端には細かな毛が生えている。葉状構造体をもたない先端は短い1節で、単調で目立たない剛毛と1対の爪のみをもつ。 かつて、この羽毛状付属肢は二叉型で、付け根が目立たない内肢をもつとも解釈されたが、Vannier et al. 2018 の再検証では、それを示唆する痕跡は存在せず、これらの付属肢は明確に単枝型だとを示される。 これらの付属肢の環形の筋と葉状構造体は、他のカンブリア紀節足動物(例えばマーレラと三葉形類)の外肢を彷彿とさせるため、内肢が退化消失し、外肢のみを残した付属肢とも解釈できるが、直前の歩脚型付属肢(それに似た長大な部分は先端に明確な内肢をもつため、原節として判断できる)との比較により、外肢ではなく、むしろそれと同様に特化した原節の方が可能性が高い。この解釈を踏まえると、ワプティアは知られる節足動物の中でも前代未聞の、外肢的性質を兼ね備えた異様な原節をもつ。
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