音読みと訓読み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:12 UTC 版)
一つの漢字には、複数の「音読み」(漢字音)と「訓読み」(和訓)があることが多い。まず音読みについては、日本に様々な時代の、様々な地域の中国語の発音が並行して伝えられたことにより、一つの漢字に複数の音読みが行われることになった。呉音、漢音、唐音といったものである。こうした現象は、特定の時代の特定の地域では通常一つの発音しか認めてこなかった中国や朝鮮半島など、他の漢字を受容した地域では、ほとんど観察されない。例えば「行」は二字熟語の「行列」では「ぎょう」であり、「銀行」では「こう」、「行灯」では「あん」である。一つの漢字「行」に「ぎょう」、「こう」、「あん」の三通りの音読みがあるのはそれぞれ「呉音」「漢音」「唐音」に対応している。 訓読みでは「山」や「人」のように、「やま」「ひと」というほぼ一種類の訓読みが伝わっているものもあるが、「行」は「ゆく」(または「いく」)ともまた「おこなう」とも読み、「主」という漢字では「おも」、「ぬし」、「あるじ」といった複数の訓読みが当てられているといった例があげられる。一つの漢字の持つ意味の広がりが複数の和語の概念にまたがっていることにより、複数の読みかたが生じた。逆に「取る」・「採る」・「捕る」などのように、一つの和語に複数の漢字が割り当てられる場合もある。
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