電気料金の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 14:25 UTC 版)
電力自由化の狙いは市場競争を通じて電気料金(小売価格)を引き下げることであるが、自由化により電気料金の低減に成功した国は今のところない。2000年頃までは各国とも電気料金が低下しているが、自由化開始前の1980年代から継続している傾向であるため、自由化による効率化と説明することは難しい。むしろ、自由化で先行する英国やドイツでは電気料金が急激に上昇しており、自由化されていない日本の電気料金を上回るなど、期待されていた電気料金の低下は全く起きていない。また、産業用需要家と家庭用需要家の電気料金を比べると、家庭用需要家の方が下落率が小さくなっている。 アメリカにおける2000年代の電気料金は、原油価格の上昇と1990年代における設備投資抑制の反動から、むしろ自由化した州の方が全米平均より高くなっている。 一方日本では、燃料費の高騰にもかかわらず、オイルショック以来約30年にわたって電気料金の低下が続いていたため、料金低下は自由化による効率化の成果というよりも、電源構成の多様化(脱石油火力発電)を推し進めてきた効果が表れてきたものであるという指摘もある。 一方、電気料金が低下したのは、外的要因による影響よりも電力自由化による潜在的競争圧力による影響が大きく働いた結果であるとの分析も行われている。自由化後に新電力に切り替えた需要家は、規制料金と比較して5%の料金低減効果を得るなど、一定の成果も確認されている。 2021年から2022年にかけて原油価格の高騰に伴い、JEPX価格も高騰した。その結果、エフパワー、ホープエナジーが事実上倒産し、シンエナジーやウエスト電力が小売事業から撤退した。
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