雑菌の起こす問題とその回避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/03 08:42 UTC 版)
微生物を扱う場合、特に培養という手順を必要とする場合が多い(発酵産業における発酵の過程もある意味では微生物の培養である)。つまり、対象とする微生物が繁殖している状態が必要なのである。このとき、同時に余計な微生物も繁殖することは、管理されていない条件下ではごく当たり前に起きる。そして、微生物は個々を見分けて扱うことが難しく、余計な微生物の繁殖は、目的とする操作にとって、ほとんどの場合に著しい邪魔になる。したがって、雑菌に対する対処は、微生物を扱う場合の、根本的な問題になる。 細菌や菌類、酵母などを培養することによる研究は、ロベルト・コッホやルイ・パスツールの時代に遡る。パスツールによって細菌は自然発生するのではなく、環境に細菌や菌類の胞子が普遍的に存在している事が証明され、今日ではそれら普遍的な細菌の活動を抑えたり、または取り除く事で細菌による害を阻止する事が可能になっている。 人間の生活には微生物の存在が知られるずっと以前の紀元前より、酒や発酵食品・更には藍染めといった染料の生産などにおいて、人為的に特定の酵母などによって有機物を加工する発酵産業が存在した。古い時代のこれら製造業において、環境中に存在する予定外の微生物の繁殖は極めて具合が悪い。このため、目的の微生物による活動を行わせる事は、同産業の至上目的であり、他方環境中にある「雑多諸々の細菌や菌類」=雑菌の繁殖を予防する技術が研究された。 一方、環境に普遍的に存在する細菌や菌類が、実験や研究・産業・医療や健康の各分野で害さないようにするため、微生物学や衛生観念・衛生学といった物が発展した。その過程においても「雑多諸々の菌類・細菌」として、雑菌という呼称が普及したと思われる。
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