隠れた反致
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/16 01:32 UTC 版)
以上、反致は本来、法廷地の国際私法により準拠法とされた地域の国際私法を考慮するものであるが、問題となる法律関係について、そのような地域の国際私法が存在しない場合にも反致が認められるかが問題となる。 英米法においては、渉外的な養子縁組や離婚については、準拠法指定という発想はなく、当事者のドミサイル (domicile) が存在する場合に裁判管轄を認め、法廷地法を適用して事件を処理する扱いがされている。このような裁判管轄に関する扱いにつき、養子縁組や離婚は当事者のドミサイルがある地の法が準拠法になるとする国際私法のルールが隠れていると解釈した上で、反致を認めるべきかが問題となる。 例えば、養親となるべき者がアメリカ人である場合について日本の家庭裁判所で養子縁組許可の審判をする場合、法の適用に関する通則法31条1項前段によれば、アメリカ法(ただし、アメリカには複数の法域が存在するため、通則法38条3項によってさらに養親が属する州の法を決める必要がある。)が準拠法になるが、養子となるべき者のドミサイルが日本にある場合には、反致を認めて日本法により養子縁組につき判断するという考え方が採れるか否かということである。 このような考え方はドイツで考案されたものであるが、日本でもこのような処理を認めている事例が存在する。
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