限度時間の延長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:06 UTC 版)
三六協定においては、上記に掲げる事項のほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができる。この場合において、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間については、三六協定に定めた時間を含め100時間未満の範囲内としなければならず、1年について労働時間を延長して労働させることができる時間については、三六協定に定めた時間を含め720時間を超えない範囲内としなければならないものであること。さらに、対象期間において労働時間を延長して労働させることができる時間が1か月について45時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は42時間)を超えることができる月数を1年について6か月以内の範囲で定めなければならないものであること。(第36条5項、平成30年9月7日基発0907第1号)。これが例外的な時間外労働の上限となる。これまで「限度基準告示」に定めてきた特別条項を、平成31年4月の改正法施行により、厳格化したうえで法本則に規定することとした。また「限度基準告示」では2か月、3か月の限度時間を定めていたが、改正法では1か月と1年のみ、限度時間として定めることとなった。なお「100時間未満」については休日労働の時間を含めて判断するが、「720時間を超えない」については休日労働の時間を含めずに判断する。 「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいうものであり、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである。その上で、具体的にどのような場合を協定するかについては、労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要があること。なお、第33条の非常災害時等の時間外労働に該当する場合はこれに含まれないこと(平成30年12月28日基発1228第15号)。 これらの事項は、いずれも法律において定められた要件であり、これらの要件を満たしていない三六協定は全体として無効である(平成30年12月28日基発1228第15号)。 第36条4項に規定する限度時間及び5項に規定する1年についての延長時間の上限は、事業場における三六協定の内容を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算されない(平成30年12月28日基発1228第15号)。
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