長期にわたる除去と修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/02 10:06 UTC 版)
「セイレーンたちとユリシーズ」の記事における「長期にわたる除去と修復」の解説
エッティは実験的な技術を使って『セイレーンたちとユリシーズ』を描いており、塗料安定剤として強力な接着剤を使用したため、塗料が硬く脆くなり、一度乾燥させると剥がれ落ちたりした。絵画の大きなサイズのため、それが動かされるたびに曲がる原因にもなった。絵画が完成した瞬間から、それは劣化し始めた。1857年のアート・トレジャーズ・エキシビション(英語版)に展示された後、この作品は展示を続けるにはあまりにも条件が悪いと考えられ、ロイヤル・マンチェスター・インスティチューションとその後継であるマンチェスター市立美術館の保管庫に長期保存された。20世紀半ばには、『セイレーンたちとユリシーズ』を修復しようとする試みが数多くなされたが、絵を清掃しようとすると思いがけず塗料が破損した。2003年、マンチェスター市立美術館の職員は、修復作業が実施されなければ、間もなく絵画は修復できなくなると判断した。 エスミー・フェアバーン財団(英語版)とアクサは、修復のための資金を提供した。1930年代に絵画が取り付けられたキャンバスがライニング(英語版)によって交換された。続いて、絵画の表面を修復するために、アイシングラスの接着剤とチョークの混合物を使用し、以前に修復しようとした際に加えられた塗料を除去した。キャンバスの新しい二重の層が絵画の後ろに付けられ、3つの層が接着された。 2006年、修復された絵画は保管庫からマンチェスター市立美術館のギャラリーに戻された。マンチェスター市立美術館のギャラリー9は、一時的なスタジオに変わり、2010年に完成するまで最終的なレタッチ作業の見学者のために一般に公開されていた。『セイレーンたちとユリシーズ』は現在ギャラリー3に展示されている。
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