金光明最勝王経音義のいろは歌
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「いろは歌」の記事における「金光明最勝王経音義のいろは歌」の解説
いろは歌の文献上最古の用例は、『金光明最勝王経音義』(大東急記念文庫所蔵)である。著者は不明、「承暦三年己未四月十六日抄了」という奥書を持つ。「音義」とは、経典に記される漢字の字義や発音について説明した書物のことで、これは『金光明最勝王経』にある語句についてのものである。いろは歌は「先可知所付借字」(先づ付する所の借字を知るべし)という但し書きを最初に置き、以下のように仮名ではなく借字で書かれており、音訓の読みとして使われる文字の一覧となっている。七字区切りにして大きく書かれた各字の下に、小さく書かれた同音の借字(〈 〉内の文字)一つ乃至二つが添えられる(ただし「於」〈お〉の借字には小字は無い)。 以〈伊〉 呂〈路〉 波〈八〉 耳〈尓〉 本〈保〉 へ〈反〉 止〈都〉 千〈知〉 利〈理〉 奴〈沼〉 流〈留〉 乎〈遠〉 和〈王〉 加〈可〉 餘〈与〉 多〈太〉 連〈礼〉 曽〈租〉 津〈ツ〉 祢〈年〉 那〈奈〉 良〈羅〉 牟〈无〉 有〈宇〉 為〈謂〉 能〈乃〉 於 久〈九〉 耶〈也〉 万〈末/麻〉 計〈介/気〉 不〈布/符〉 己〈古〉 衣〈延〉 天〈弖〉 阿〈安〉 佐〈作〉 伎〈畿〉 喩〈由〉 女〈馬/面〉 美〈弥〉 之〈志/士〉 恵〈會/廻〉 比〈皮/非〉 毛〈文/裳〉 勢〈世〉 須〈寸〉 それぞれの文字には声点が朱で記されており、それぞれの文字のアクセントがわかるようになっている。小松英雄は各文字のアクセントの高低の配置を分析し、このいろは歌が漢語の声調を訓練するための目的に使われたのではないかと考察している(後述)。なお声点の付けられたいろは歌は、真言宗や声明に関わる古文献でも見られるが、この『金光明最勝王經音義』のものとはアクセントの高低がそれぞれ異なる。
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