金の鶏伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/15 04:59 UTC 版)
昔、西光寺山山頂に諸国を漫遊し修行を積んだ高僧が庵を結び住んでいた。僧は百姓の病気を治療したり、講話をしたり、農作物の作り方などを指導し、村人に大変慕われていた。僧の住む粗末な庵には、ひときわ立派な木箱が置かれていたため、村人は何が入っているのか興味しんしんに僧に尋ねたところ村が飢餓や疫病に襲われた際に救ってくれるものが入っている、しかし中を見ると悪い心を起こすものが出るので決してあけてはならない、と言った。見るなと言われると見たくなるのが人情で、ある日、僧がいない隙を見て若者の一人が木箱の蓋を開けてみた。すると中には金無垢の鶏がまばゆい光を放っていた。この事実は村人へ口伝され評判となった。村を通りがかった旅人がこの話を耳にし真夜中に僧の庵に忍び込み木箱へ手をかけた。途端に、稲光と雷鳴がとどろき旅人は谷底へ転げ落ちてしまった。僧は何事もなかったかのように寝入っていた。 2、3日後、僧は下山し村人を集めると、 「わたしがしてはならぬと申したのにそむいた者がある。わたしはここを去ってまた修行の旅に出るが、宝物はこの山に残しておく。皆が力を合わせて一生懸命働けば、きっと宝物が役立つときが来よう」 こういい残すと僧はどこへか旅立っていった。その後に山頂には立派な寺が建立され、金の鶏の話が伝えられ「金鶏山西方寺」と名付けられた。現在でも別名を金鶏山と呼ばれお寺の跡も残されている。以来、地元では正月が明けると暗闇の西光寺山のどこかで金の鶏が四方に金色の光を放つと言い伝えられているが、いまだに見た者はいない。
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