重点管理による在庫低減・発注納品管理工数の削減
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/18 07:04 UTC 版)
「ABC分析」の記事における「重点管理による在庫低減・発注納品管理工数の削減」の解説
以下に数値を挙げた重点管理の適用例を示す 均一発注手順 上図のABC分布で4000品番の所要がある工場での購買手順としてまずABCクラスを考慮せず均一に発注点=在庫2週間分、納品頻度=毎週とした場合4週間での納品頻度は16000回、平均在庫は2.5週間分となる。(納品ロット数量等の制約がないと仮定して) 調達手順の比較均一購入条件段階的購入条件材料条件材料条件 全材料 4000点 発注点=2週間分在庫納品頻度=毎週 Aクラス 200点 発注点=1週間分在庫納品頻度=毎週 Bクラス 400点 発注点=2週間分在庫納品頻度=隔週 Cクラス 3400点 発注点=3週間分在庫納品頻度=4週毎 段階的発注手順 対して段階的購買基準を適用し、Aクラスの場合、発注点=在庫1週間分、納品頻度=毎週、Bクラスの場合、発注点=在庫2週間分、納品頻度=隔週、Cクラスの場合、発注点=在庫3週間分、納品頻度=4週毎、とすると納品頻度は(A 200x4=800)+(B 400x2=800)+(C 3400x1=3400)=5000となり、平均在庫金額は(A 75%x1.5週分)+(B 15%x3週分)+(C 10%x3.5週分)=1.925週分となる。均一購入とクラス別重点購入の納品頻度と在庫金額の比較 (4週間分)ABCクラス点数所要金額の割合均一購入クラス別重点購入備考4週間の納品回数平均在庫レベル4週間の納品回数平均在庫レベルA 200 75% 800 2.5週分 800 1.5週分a 納品頻度同じ、安全在庫は2.5から1.5週間分aに減少。より工数をかけた管理が必要になる。 B 400 15% 1600 2.5週分 800 3週分 納品頻度半減、安全在庫2割増。管理工数は半減以上。 C 3400 10% 13600 2.5週分 3400 3.5週分 納品頻度は四分の一、安全在庫は4割増。大幅な管理工数の削減。 合計 4000 100% 16000 2.5週分 5000 1.925週分 納品頻度は三分の一以下に。Aクラスの材料の管理工数は増えるが、95%の点数では大幅な管理工数の削減となる。平均在庫金額は23%削減となるa)。 a) Aクラスの材料にはより管理工数のかかる購入条件の適用が可能であり、例えばJITのように毎日納品で発注点を1日分の在庫とすると、納品頻度は800から4000へ増加、在庫金額は1.5日分(0.3週間分)へと大幅に削減。 全材料でみると納品頻度は16000から8200へほぼ半減、在庫金額も2.5週間分から1.025週間分へと59%の削減が可能。 以上のように段階的管理基準を適用することで管理工数および在庫金額の大幅な削減が可能となる。 前述の運用例では直接の金銭的結果のでる調達手順を示したが、これを達成するためには他の部門においてもABCクラスを念頭においた業務手順がとられる必要がある。例えばAクラスの材料は安全在庫が他のクラスと比べ少ないわけで、その分在庫精度は高い必要がある。そのためにはABCクラス別に循環棚卸(Cycle Count)の頻度を重要品目(Aクラス)では頻度を上げ在庫精度を向上させると同時に低重要度品目は回数を減らし全体でも総工数が削減できるように設定する。物流に関しても同様に受入、検査などの優先度もABCクラス別に運用する、などABCクラスは全社的に認識される必要がある。さらには仕入先等ともABCクラスの情報を共有することは有益である。
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