農業に関する案件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 06:23 UTC 版)
「ハルシュタイン委員会」の記事における「農業に関する案件」の解説
1965年、ハルシュタインは共通農業政策関連の予算について委員会の提案を推し進めていた。その提案とは、委員会が加盟国の影響を受けない独自の財源を開拓し、欧州議会に対して予算権限を強化させるというものであった。ところがこの案件は理事会で諮られたが、フランス政府は賛成しないと表明した。ハルシュタインはこの案件にはらむ不安要素を認識し、普段は行わない提案の起草を、通常は農業担当委員が行うものであるが、自ら行っている。当時の委員会における協議の論調もどのような結果をもたらすか察知しており、一部の委員、とりわけフランス出身の2人の委員はこの案に反対したが、同時にこの件は委員会の長期的な目標に欠かせないものであるとも判断していた。 この法令により委員会の権限が強化されただけでなく、議会も加盟国の影響力を超えた構造を持ち、また各国政府の拒否権に左右されないような権限を得た。これによりハルシュタインはより権限を求めて行動してきた欧州議会の支持を取り付けた。その後ハルシュタインは理事会に対して主張する1週間前である3月24日に、議会において自身の政策を提唱した。これによりハルシュタインは欧州議会と自身の利害を一致させ、加盟国政府の反対を押し切るのに十分なヨーロッパ主義支持の波を起こそうとした上で、委員会がどのように行動するべきかを示した。しかしこれら一連の動きにおいて、過去に成功を重ねてきたもののハルシュタインは危険をはらんでいる自らの主張を過信していた。ハルシュタインは自らの主張を展開したものの理事会は難色を示し、フランス大統領シャルル・ド・ゴールは委員会が加盟国を越える権限を持つことを懸念し、ハルシュタインがあたかも1国の首脳であるかのような行動を非難した。フランスは共通農業政策について、フランス以外の加盟国が受け入れているだけに過ぎず、多数決で異論を唱えているようなものとみなしていたのである。
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