走錨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 17:42 UTC 版)
嵐や潮流などで船舶が受ける外力が錨と錨鎖の抵抗力やプロペラの推進力を上回れば、錨が錨鎖と共に引きずられる。この時、錨が傾いたり反転現象によって把駐力が小さくなり錨が移動し続けることを走錨(そうびょう)と言う。一度、走錨状態になると再び錨の姿勢が正常に戻ることは期待できないため船舶を止めることは難しくなる。嵐などの荒天時では、錨と鎖を引きずっているため、ウィンドラス(揚錨機)では引き上げられなくなる。特にこのような場合には、操船ができずに海難事故に至る危険性が非常に高くなる。 実際に事故に至ってしまった例として、平成30年台風第21号による関西国際空港連絡橋タンカー衝突事故が挙げられる。この事故では死者は出なかったものの、空港への交通が長期に亘り寸断される結果となった。この事故を教訓に走錨が発生する可能性がある気象条件の際には航行警報で錨泊禁止などの呼びかけが行われるようになっている。 底質にもよるが、JIS型やAC-14型では、錨泊時に爪が正常に掛からない場合があり、小さな潮の流れや弱い風などでも船が移動する場合があるので、この時はアンカーの打ち直しを行う。旧来のストック・アンカーではストックにより姿勢が安定しやすいため走錨が起こりにくいとされている。 走錨中は国際信号旗の「Y」を掲げることで周囲に知らせる。
※この「走錨」の解説は、「錨」の解説の一部です。
「走錨」を含む「錨」の記事については、「錨」の概要を参照ください。
「走錨」の例文・使い方・用例・文例
- 船はひと晩中走錨(そうびよう)した 《錨(いかり)が止まらなかった》.
走錨と同じ種類の言葉
品詞の分類
- >> 「走錨」を含む用語の索引
- 走錨のページへのリンク