認知症と高齢者虐待
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 16:25 UTC 版)
要介護高齢者が増加するにつれ、虐待も増加していると言われている。かつては医療機関や老人介護施設における認知症患者に対しての「身体拘束」などの行為が日常的に見られたが、徘徊防止と称してのベッドに縛り付ける行為が、本人の尊厳を損なうのみならず、認知症が悪化し、日常生活に支障をきたす原因となっていた。特に軽度の認知症患者では、日常生活においては、周囲の支援によりあまり問題なく生活できる場合があるが、契約や物の貸し借りといった事を忘れてしまいがちになる事から、これを悪用して財産を巻き上げたり、虐待の事実を隠蔽するケースは後を断たない。近年ではこれら徘徊に対する拘束が、高齢者自身の健康を損ない、また人権侵害であるという考えが広まり、拘束が行われない方向での看護方針の改善が進んでいる。一例を挙げれば、高齢者に常時位置を知らせるPHSや電波発信機を携帯してもらい、所在地を確認できる様にする等である。他方、老人看護施設では、徘徊傾向のある高齢者が施設外に出掛けるのを禁止する所もあり、一種の軟禁状態にあるという問題もあるが、近年の老人看護施設では、施設内で大抵の用事が済ませられるよう、設備拡充を図るケースも見られ、どの程度に管理するかという点を含め、様々な改良が進められている。
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