記憶のあいまいな語り手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 23:21 UTC 版)
「信頼できない語り手」の記事における「記憶のあいまいな語り手」の解説
精神疾患というほどでもないが、事故直後のショックや物忘れ、思い出したくない過去があるなど、あいまいな記憶を持つ人物が語り手になっている場合も、信頼できない語り手となることがある。 イギリスの小説家カズオ・イシグロは『日の名残り』などで、自分の人生や価値観を危うくするような過去の記憶から逃げている等、記憶を操作していたり記憶があいまいだったりする一人称の語り手を登場させ、最後には語り手が記憶と事実のずれに直面せざるを得なくなるような物語を多く書いている。 志駕晃の小説『ちょっと一杯のはずだったのに』では、主人公は、著しい酩酊のために、酩酊時の記憶が当人自身にも残っておらず殺人の有力容疑者となってしまう。しかも密室であったために、酩酊状態で密室を構築したのではないか、とまで疑われるが、当人は確信をもって否認できず、読者も、主人公が犯人かどうかわからないまま進行する。
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