解曲線と個体数振動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 17:08 UTC 版)
「ロトカ・ヴォルテラの方程式」の記事における「解曲線と個体数振動」の解説
上記のアイソクライン法による解析だけでは、解曲線の形状は確定しない。解曲線は、平衡点 (d/c, a/b) を中心に反時計回りに回転していることは分かったが、平衡点を中心としてそこから離れていく渦巻形状なのか、逆に平衡点へ近づいていく渦巻形状なのか、あるいは円や楕円のように一周して元の点に戻る閉曲線なのか、などの可能性がある。ロトカ・ヴォルテラの方程式の解は、これらの中の閉曲線に該当し、相平面の第一象限上で解曲線は平衡点 (d/c, a/b) を中心にして一周する閉じた軌道を描く。これは、前述の保存量 H の存在などから証明される。 解曲線の形状は、純粋な円や楕円というよりは卵のような形となっている。どの大きさの軌道を取るかは、被食者 x と捕食者 y の初期値 x0, y0 によって決まる。保存量 H の値は初期値 x0, y0 によって決まり、H の各値に1つの閉曲線が対応する。さらに、x と y の1周期中の平均量を計算すると、それらの値は、それぞれの平衡点 d/c と a/b に一致する。 解曲線が閉じた曲線であることは、被食者と捕食者の個体数は一定周期で振動していることも意味する。個体数の時間発展波形は複雑な形状となる。捕食者と被食者の個体数変動の位相は1/4周期ほどずれており、 被食者増加後に、捕食者増加 捕食者増加後に、被食者減少 被食者減少後に、捕食者減少 捕食者減少後に、被食者増加 という変動の繰り返しを示す。 個体数の範囲を平衡点近傍に限り、線形安定解析によって近似的な解析を行えば、それぞれの個体数変動の振動数を得ることもできる。このときの x と y は、上記の保存量 H と同じように、次のような関係で表される。 C = a 2 c 2 b 2 x 2 + a d y 2 . {\displaystyle C={\frac {a^{2}c^{2}}{b^{2}}}x^{2}+ady^{2}.} ここで、C は一定値である。また、それぞれの個体数変動の振動数 ω あるいは周期 T は ω = a d , T = 2 π a d {\displaystyle \omega ={\sqrt {ad}},\quad T={\frac {2\pi }{\sqrt {ad}}}} で与えられる。
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