親子の引き離し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 00:02 UTC 版)
自然哺乳による旧来の飼育法では、子牛が自然に離乳するのは、5-6ヶ月齢あるいは6-8ヵ月とも言われている。しかし現代の酪農では、多くの場合、子牛は産まれてすぐに強制的に母牛からひき離される。母子を引き離す理由には、牛乳を早く生産ラインにのせるため、授乳をさせないことで母牛に早く次の発情をこさせるため、搾乳機では乳量が減少することを防ぐため(子牛に乳を吸われた母牛は、子牛に吸われることに反応して乳を出すようになる)などがある。しかしながら、自然哺乳の場合、子牛は一時間に6000回、母牛の乳頭を吸うと言われており(母乳の吸入とおしゃぶりを含む)、それが阻害されることにより様々な動物福祉上の問題が発生する。 引き離しによる母牛のストレスは数値に現われ、心拍数の急激な増加、反すうの減少、睡眠障害、そしてストレス指標の一つと言われている目の白い部分の増加が確認される。子牛もまた引き離し時の心拍数が急速に増加する。引き離されず、母牛から乳を吸うことができる子牛は、3週間にわたって下痢の発作が減り、消化機能が改善される。また「乳を吸いたい」という欲求が満たされるため、他の子牛のへそを吸うという異常な行動が防止されることが観察されている。
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