視線速度法での発見とトランジット観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 16:03 UTC 版)
「オシリス (惑星)」の記事における「視線速度法での発見とトランジット観測」の解説
HD 209458 b は初めてトランジットが検出された太陽系外惑星であるが、存在の初検出は視線速度法を用いて行われた。またトランジットの初検出には、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの David Charbonneau らによるグループと、テネシー州立大学の Gregory W. Henry らの2つの観測チームが競合していた。 主星である HD 209458 は、ケック望遠鏡の HIRES を用いた観測と、オート=プロヴァンス天文台の 1.93 m 望遠鏡に設置された分光器 ELODIE を用いた観測の、視線速度法によるそれぞれ独立した2つの系外惑星探査プロジェクトでの観測対象となっていた。ELODIE による観測では1999年8月の段階で HD 209458 に視線速度の変動が検出されており、その後の追加観測の結果とも合わせて惑星候補天体の軌道要素や、予測されるトランジットの日時が判明していた。これを受け Charbonneau らは1999年8月29日以降に10夜にわたって HD 209458 の測光観測を行い、9月9日と16日の両日に、トランジットが発生すると予測されたタイミングで主星の明るさが 1.7% 減少したのを検出した。 一方で Henry らも、9月までに HIRES を用いた観測で HD 209458 に視線速度の変動が検出されたのを受け、軌道要素が確定して予想されるトランジットの日時が判明した後すぐに測光観測を開始した。Henry らはフェアボーン天文台の 0.80 m 望遠鏡を用いて1999年11月7日にトランジットを検出したが、この観測ではトランジットの前半部分のみが観測された。Henry らは当初トランジットの検出に確信を持てない状態であったが、Charbonneau らのグループが9月に完全なトランジットを検出したという噂を聞き、結果を論文として公表するのを急ぐこととした。Henry らは11月12日に国際天文学連合のサーキュラーでトランジットを検出したことを報告し、18日に論文を投稿した。Charbonneau らは翌19日に論文を投稿した。両グループの論文はどちらも受理され、アストロフィジカルジャーナルの同じ巻に、連続したページで掲載された。報告されたいずれのトランジットも継続時間はおよそ3時間であり、惑星は主星の面積のおよそ 1.5% を隠しているとされた。 主星は位置天文衛星のヒッパルコスによって繰り返し観測されていたため、HD 209458 b の公転周期は 3.524786 日と非常に正確に計算されている。
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