複数弾頭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 02:02 UTC 版)
弾道ミサイルに搭載される複数弾頭にはMRV、MIRV、MaRVが挙げられる。核弾頭の小型化およびロケット技術の向上による大推力化により、一基のミサイルに複数個の弾頭を搭載できるようになった。これは、ミサイルの効率的な利用ができるほか、迎撃ミサイルに対する回避手段としても有効なものである。始めにMRV(Multiple Reentry vehicle,複数再突入体)が開発された。MRVは同一目標に対するもので、各弾頭は似たような軌道を取る。ポラリスA-3はMRVであり、3個の弾頭を搭載している。 MIRVは複数個別誘導再突入体などと呼ばれるもので、これは文字通り複数の弾頭を装備し、それぞれ別の目標に対して攻撃が可能な弾頭である。MIRVやMRVを導入するには核弾頭の小型化技術が必要で、21世紀初頭現在で多弾頭化された弾道ミサイルの開発に成功した国はアメリカ、ロシア、中国 のみで、フランスはアメリカの技術協力を受けてMRVを開発し、イギリスはミサイルをアメリカから購入している。 MaRVは機動式再突入体と言われる。これも文字通り再突入時に迎撃を回避したり命中率を高めるための弾頭であるがあまり使用されていない。 これら複数弾頭のミサイルは再突入体の分離時、本物の核弾頭の他にデコイやチャフなど、ペネトレーション・エイドと呼ばれる敵の迎撃を困難にするための攪乱手段を備えたものもある。ただ、重量の軽減のため、風船のように内部が空洞のデコイは空気の希薄な成層圏でのみ有効で、空気抵抗の大きい大気圏に落ちてくる頃には本物とは違った軌道をとるので地上の迎撃側では容易に峻別できる。冷戦終結によって、弾頭の搭載数を米ソ双方で減少・制限されており、これらの新たな兵器開発も停止されている。
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